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「顎が小さい」のはじまりは赤ちゃん期

【ニュースレターVol.5】

気をつけたい赤ちゃんのいびきと口呼吸

■中顔面の骨格的な発達不良

ランパセラピーでは、歯並びが悪くなる原因のほとんどを「上下の顎の劣成長」、もしくは「中顔面の骨格的な発達不良」とお伝えしています。これらは大まかに、結論としての最終原因なのか、現実的な治療対象なのかの違いなので厳密に意識しなくても大丈夫です。とにかく、「骨格」の問題なんだなと思っていただけたら結構です。

ただ、こちらはきちんと理解していただきたいのですが、歯並びが悪くなる原因として広く指摘されている「顎が小さいこと」は、中顔面の話とは別の話ではありません。中顔面の発達不良の結果として、顎が小さくなってしまうと、一旦理解してみてください。

■赤ちゃんの口育

中顔面の発達不良の主な要因とは、「口呼吸」。そして骨格の問題とは、成長という「時間」の積み重ね。つまり、そのリスクのスタートは赤ちゃん期です。そして1歳まで短い期間は、こどもの骨格の基礎が作られる大事な時期。

進化の過程で、ヒトの赤ちゃんは例外なく、生物としては未熟な状態で生まれてきます。RAMPAでお伝えしているように、口腔域の骨格をなるべく正しく育ててあげること、それは審美矯正の必要性どころか、呼吸という生きる根幹に関わります。

中顔面の骨格的な発達不良とは、赤ちゃん期や胎児期の生育環境が大きく関係します。

具体的には、本来望ましくないイレギュラーな筋緊張や筋肉のアンバランスなどが、骨格へと干渉し、お口と全身の発達を左右してしまうのです。今回は、赤ちゃんのいびきや口呼吸、受け口などの原因になる生育環境と、こどもたちを健全な成長に導くための「口育」について、その一例、抱っこを通してお話しします。

もし理解が大変でしたらこう覚えてください。「最重要ワードは、鼻呼吸」、そして「最重要NGワードは、口呼吸」です。「たかが、口呼吸」とは決して思わないでください。

■まるい顎を育てる「Cカーブ」の抱っこ

赤ちゃんにも「正しい姿勢」というものがあります。私たち大人は、筋肉の凝りや過緊張でさまざまな 体の不調を感じることがあります。ですが、成長期にある赤ちゃんには、この筋肉の凝りや過緊張の影響がとりわけ大きく、成長そのものに関わってしまいます。特に肩や首の筋肉の過緊張は、舌骨という骨の位置を引き下げ、直接的に口呼吸へとつながります。※舌骨は肩や首の筋肉とも繋がっています。

この筋肉の過緊張を最小限に抑える姿勢が、赤ちゃんにとっての「Cカーブ」 なんです。

まるい顎と三角の顎、下の2つの顎のイラストを見比べてみてください。どちらが理想的な顎の状態でしょうか。

左側のまるい顎が理想的に育った顎です。歯と歯の間にスペースがありますね。一見、「すきっ歯」といわれるかもしれませんが、乳歯列ではこのスペース は本来あるべきです。でないと、乳歯より大きい永久歯が並んで生えてくることができませんよね。

一方、右側の三角形に近いかたちの顎は、少々問題を抱えて成長している顎です。歯と歯の間に隙間がなく、 お口の中にひずみが生じています。これは将来的に矯正治療が必要になる可能性を示すサインの一つ。赤ちゃんの頃からお口がポカンと開いていると、三角形の顎に育ちやすくなります。このような三角形の顎は、口呼吸が日常的になっている証。そして、これが「顎が小さい」の正体。

しっかりお口を閉じる習慣(鼻呼吸)ができていれば、理想的なまるい顎へと育っていきやすくなります。

実は、上顎についた舌が、まるい顎を育てるガイド役になります。大人の方は、あえて試してみると分かります。舌を上顎につけないで鼻呼吸をするって結構息苦しいんです。こどもの口がポカンになるのも当然です。つまり、舌骨が下方に下げられ、物理的に舌が上顎につきにくくなることが問題。

鼻が詰まっていれば、「口呼吸」は容易に想像できますが、実は逆のパターンが多い。姿勢が悪い(筋肉の過緊張が舌骨の位置を下げる)から「口呼吸」になる。そして、口呼吸は「中顔面の発達不良」を経て、「歯並び」「鼻腔」「気道」の問題へと進行します。ここでやっと、鼻が詰まって「口呼吸」が成り立ちます。ただこうなると悪循環、もはや「鼻呼吸」は、無理なお話しです。

■「お口ぽかん」はお腹の中から

「お口ぽかん」の原因は、 胎児がお腹の中いる時から始まっていると考えられます。下の写真をご覧ください。このふたつの写真の違いは何でしょうか。

これは、 赤ちゃんが子宮内にいる時のエコー 写真です。まるい子宮にいる赤ちゃんと、少々歪んでいる子宮にいる赤ちゃん、どちらが成長にとって良い環境なのかは、想像がつきます。当然、お口もこの環境下で育ちます。これが、「生まれつき」の正体の一つです。

居心地の良いまるい子宮で育った赤ちゃんと、少し窮屈な子宮で育った赤ちゃんのお口の違いが下の写真です。

そして、気付いて欲しいのが、まるい子宮にいる赤ちゃんの姿勢、そう「Cカーブ」です。

■赤ちゃんには骨格の柔軟性がある

赤ちゃんが、いびきをかく、口呼吸をしている、受け口気味、これらにお気付きになることはありますか?

これらは、舌の位置が下がっている証。つまり、舌骨の位置が下がっているのかもしれない。特に、受け口は象徴的な現象です。舌が下がることで、気道が狭くなり、それを無意識的に拡げようと身体が反応します。同じ口呼吸でも、ただの口呼吸と受け口にした時の口呼吸のどちらが楽に呼吸ができるか、大人の方は試してみてください。

ただ、「 生まれつき」でも「生後の成長」でも、過度に悲観しなくて大丈夫です。お口を育てることがそう簡単ではないのはお話ししました。そもそも、人類の遠い祖先から、その約半分には不正咬合の傾向があるそうです。

大切なことは、舌骨の位置を下げるようなイレギュラーな筋緊張をなるべく赤ちゃんに与えないこと。そして、赤ちゃんの骨格にはまだ柔軟性があるため、決して「仕方がない」ではないこと。

赤ちゃんの時期ならば、ちょっとした受け口などは筋肉の過緊張をほぐすだけで、改善される場合も多いです。当院の赤ちゃん歯科(口育)では、さまざまな視点からお伝えしていますが、以下ではその一つ、 まるいお口を育てる抱っこのポイントをご紹介します。

■Cカーブをつくる抱っこのポイント

▼抱っこ4原則

①脊柱はまぁるく

②四肢は中心で屈曲

③おでこ・おへそ・あごが一直線

④首は反らない

▼気をつけたい抱っこ

・赤ちゃんが真っすぐになっている

・ママの顎に赤ちゃんの頭があたっている

・縦抱き:首が後ろに倒れていて上半身が不安定になっている

ポイントは「C」カーブです。「I・V・U」にはならないように気をつけてくださいね。

■健全なお口とは「育てるもの」

抱っこに限らず、きちんと鼻呼吸ができるまるい顎に育てるためには、 赤ちゃんの首周りの筋緊張を招きにくい「Cカーブ」 の姿勢を保ってあげることが大切です。健全なお口とは「育てるもの」です。赤ちゃんの生育環境や生活習慣が、お口の発達に及ぼすリスクを理解し、赤ちゃんの頑張りのお手伝いをしてあげてください。これは親御様にしかできないことです。

これらの問題が、中顔面の発達不良へと発展した場合の次のアプローチがランパセラピーです。通常、歯科での矯正治療では、ここまでお伝えされることは少ないかもしれません。一般の矯正歯科の目的は「 歯並びの改善」とされていますから 。ただ、骨格の発達不良がその原因なのであれば、歯並びにとどまらず、呼吸の問題にもつながる場合があります。歯並びの悪さとはいわば 「症状の一つ」かもしれません。正しい成長ができていれば、歯はきちんと生えてくるようにDNAでは設計されています。なぜ、歯並びが悪くなるのかを知ることが大切です。

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🏥こどもと女性の歯科クリニック
✧ 日本に2件の小児矯正「ランパセラピー」専門

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ランパセラピーって?

中顔面の発達をサポートすることで、歯列のみならず、呼吸器疾患や耳鼻疾患の問題を改善していくことを目的としている矯正治療

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