Preventive Dentistry for Children
Let’s know about cavities!
むし歯は、口内に生息する常在菌「ミュータンス菌」がきっかけとなり発生します。
ミュータンス菌は口の中の糖質を取り込むことで、ネバネバとした歯垢を作り出し、歯の表面を覆います。さらに、この菌は糖質を発酵させて酸を作り出す性質もあるため、歯垢の中は酸性になります。
酸性の状態が続き歯の成分が溶かされたものが「むし歯」と言われるものです。
この酸性状態は歯磨きと唾液の緩衝能(かんしょうのう)という機能によって「徐々に」本来の中性へと戻ります。
歯磨きをしても、すぐ中性に戻るわけではないんですね。でも糖質が入るとあっという間に酸性になります。
食事以外にも間食や砂糖入りの飲み物など気にしていないと糖質が口に入る機会は多いものですので、このお口の酸性状態を避けるって意外と大変なことです。
虫歯予防の最重要ポイントは「お口の中の酸性状態を極力作らない!」です。
歯が生え始める生後7ヶ月前後になると「母乳を飲ませているとむし歯になると聞いたのですが?」と、質問されることがあります。
母乳育児は栄養学・免疫学はもちろん、精神的にも経済的にもメリットがありますので、卒乳をするべきか悩まれるかもしれません。
確かに歯を溶かす酸の原料は糖質で、母乳には糖質の一種である乳糖が含まれています。
しかし、むし歯を最もつくりやすいのは砂糖(ショ糖)です。乳糖は問題ありませんとは言えませんが、母乳そのものがむし歯の直接的な原因になるのではなく、お口の中が酸性の状態で続きやすい生活習慣が実は問題です。
母乳には糖質が含まれていることをご理解し、赤ちゃんのお口のケアをされて下さい。
もともとむし歯菌(ミュータンス菌)は赤ちゃんには存在しません。1才半くらいになると他人のミュータンス菌が伝播するとの研究もあります。1才くらいまでは練習のつもりで歯ブラシにトライするといいかもしれませんね。
そんなにきっちりしなくてもまだ大丈夫です。お水や麦茶でお口を洗い流すことは意識をしてください。
痛みに対する敏感さが、乳歯と永久歯では異なります。乳歯の方が痛みに対して鈍いため、気付いた時には進行していることも珍しくありません。
乳歯のむし歯ですと、こどもは痛みを訴えず、どうせ永久歯に生え変わるからと治療に足が遠のく親御様もいらっしゃると伺います。歯が生え変わる混合歯列期では乳歯のむし歯が永久歯に影響を与えることもあります。
むし歯の進行によっては最終的に歯を失うことになりかねません。早期に歯を失うことで、本来なるはずではなかった不正咬合を招くことがあるかもしれません。
ここで警鐘として、このような例をご紹介します。
骨髄炎・敗血症・心筋梗塞・肺炎など
いずれもむし歯を放置した結果、むし歯菌が体内に入り込み悪影響を及ぼすことで起こりうる病気です。直接的にむし歯が原因ではなくともお口のトラブルが一因となり命を縮めた過去の偉人も多いようです。特に元新選組隊長の永倉新八さんはむし歯菌による骨髄炎で亡くなったといわれています。
point
お口の管理に歯磨きは非常に大切です。歯ブラシが届きにくい歯と歯の間、奥歯や歯の根元はむし歯にもなりやすいものです。力は必要ありません。軽めの力加減で大丈夫です。歯ブラシがしっかり当たるように、ゆっくり丁寧に磨くようにしてください。
まずは大人も子供も大前提の歯磨き。ミュータンス菌が酸を作り出す元の、歯の汚れをきちんと歯磨きしましょう。小さなお子様などは、ついつい眠気には勝てないときがあります。そうならないように、夜は眠くなる前にしっかり歯磨きするようにしてください。
歯磨きって何となくのうちに磨く順番・場所など、人それぞれで癖がつきます。どうせなら正しい歯磨きの癖をつけた方がいいですよね。後から癖を直すのは大変です。歯石は磨き残しが石灰化して硬くなったものです。これは歯磨きの癖でいつも同じ場所を磨き残しているということなんですね。
それでは歯磨きはきちんとやりました。でもそれで終わらせてしまうのは非常にもったいないことです。
表面は磨けても歯の全面をきれいにしたことにはなりませんね。そこで歯と歯の間、デンタルフロスも併用して下さい。
さらにもうひと手間、ぜひ歯医者さんで一度、健診をしてもらい、虫歯予防効果の高いシーラント・フッ素・PMTC(クリーニング)のお話も伺ってみて下さい。きちんとした歯磨きのやり方も教えてくれます。
むし歯の原因を知り生活習慣を整えることがむし歯予防では非常に重要です。これらが揃うことで、むし歯のリスクは今よりはるかに低くなります。
でも大変ですよね。
それでも少しの油断からなってしまうのがむし歯なんですね。その意識がすごく大切です。
Be careful.
歯磨きはむし歯・歯周病予防など口腔内の管理という観点から非常に大切です。しかし「なぜむし歯になるのか?」のメカニズムから見えてくる、いくつかの意識と習慣からも予防はまだまだ出来ます。
ここでのキーワードは
むし歯の原因と唾液の重要性です。
むし歯は食事などで取り込まれた糖質をもとに、口内細菌が口腔内を中性から酸性状態にすることで歯が溶かされてしまうことから起こります。
歯は酸に非常に弱いものですが、通常は唾液の循環によって徐々に中性に戻っていきます。また唾液にはごく初期のむし歯の再石灰化という唾液にしかできない重要な役割があります。
お口の中では常に電子顕微鏡でしか分からないほどのむし歯と唾液による再石灰化が繰り返されています。このバランスが崩れたとき、むし歯という症状になって現れます。
口腔内の酸性状態が中性に戻るまでおおよそ1~3時間くらいかかると言われていますが、これは緩衝能といって個人の唾液の性状にもよりますので一概にも言えません。
近年見かける、むし歯・歯周病のリスク検査は、この緩衝能の強弱も判定基準の要素になります。特にケアしているようには見えないのに、なんでだかむし歯にならない人っていませんか?それはこの緩衝能が強いタイプの人かもしれませんね。
むし歯になりにくくするためには、唾液の分泌が非常に重要になります。
「よく噛んで食べましょう」はむし歯予防にも言えることです。逆に早食いや水で流し込むような食事習慣は、むし歯になりやすいと言えます。煮物やカレーの野菜を大きめに切るという工夫も、よく噛むためにはいいことですね。
メリハリなく、だらだらと飲食を続けることは、口腔内が中性に戻っている時間が少なく、ほぼ酸性状態にあるということになりますね。
これをステファンカーブといいます。食べるとき・食べないときのメリハリをつけ、なるべく酸性状態を作らないことを考えましょう。
中性に戻る時間を「徐々に」よりは早く出来ないものでしょうか?当クリニックではキシリトール入りのタブレットをおすすめしています。
(ガムでもいいのですが小さなおこさまは上手に噛めませんので。)
キシリトールは口腔内を酸性にしにくい甘味料で、むし歯菌の活性を抑える効果があります。またタブレットなどを口にすることで唾液の分泌が促され、お口の中を中性に戻したり歯の再石灰化を促す一助になります。
就寝時はただでさえ唾液の分泌が減ります。
寝る前の飲食は、口腔内が中性に戻るまでの時間を伸ばします。結果的に酸性状態が長く続くということになりますのでやめましょう。「唾液の分泌が減る」は口呼吸やお口ポカンでも同じことが言えます。
またこれらで口腔内が乾燥することは歯の汚れをこびりつかせます。汚れて乾いた食器やお鍋を洗うのは手間と時間がかかりますよね。口呼吸は弊害の多い症例です。原因があって口呼吸になっている場合も多いので、こちらは歯科へのご相談をおすすめします。
これは歯磨きのことになってしまいますが、当クリニックでおすすめしている歯磨きのポイントは歯磨き粉を使わずに「唾液で磨く」ということです。
唾液中には有益なミネラルがたくさん。唾液を歯に刷り込むような意識での歯磨き・ブラッシングで歯質が強化出来ます。
大人の方へ
実は大人の方は唾液によってある程度は自然と歯質が強化されているのです。どうしても気分的にスッキリしなければ、その後に洗口液などをお使いになってください。
唾液の性状はパワーアップすることが出来ます。
「唾液線のマッサージ」をすることで刺激唾液という緩衝能に優れた唾液が分泌されます。
歯茎やほっぺを何となくマッサージをして刺激を与えるだけでもある程度は効果ありです。こちらは「唾液による歯磨き」にも繋がります。
大人の方へ
当クリニックで歯周病予防として提供しています「はぐきがため」という歯磨き法でも唾液の性状が変化します。
①~⑤はご自身で気をつけることが出来る生活習慣です。むし歯予防に「これをしておけば大丈夫」というものはないんですね。ぜひ歯磨きと併せて意識をして下さい。 ⑥はご興味がございましたら一度ご来院ください。実践的な内容を含みますので直接お伝えいたします。その後はご自身の習慣とされても大丈夫です。
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