BLOG
ブログ

「睡眠障害」が新たな診療科名に|子供の有病率も高まる睡眠時無呼吸と口呼吸の深いつながり
【ブログ:Vol.11】
お子様の「睡眠時無呼吸」「いびき」は骨格からのSOSサイン?
睡眠時無呼吸やいびきの原因となる「口呼吸」
今年6月から、診療科の名称として「睡眠障害」が新たに使用可能となりました。日本人の5人に1人が睡眠に悩み、子どもの4~5人に1人が何らかの睡眠障害を抱えているともいわれています。
そこで今回は、睡眠と口呼吸の深いつながりについてご紹介したいと思います。



■6月から「睡眠障害」が診療科名に――その背景
2026年6月、厚生労働省の省令改正により、病院・クリニックの診療科名として「睡眠障害」が新たに使用できるようになりました
厚労省が2024年に実施したアンケート調査によると、「睡眠で十分な休養が取れていない」と答えた割合は、男性約19.7%、女性約21.2%と、男女ともに約20%で、5人に1人が睡眠に悩みを抱えていることがわかりました。日本睡眠学会によると、睡眠障害の診断内訳は、不眠症が約85%、睡眠時無呼吸症候群が約11%とされています。
さらに、近年の各国の調査により、子どもの4~5人に1人が、睡眠不足や夜型生活による起床困難や日中の眠気などの睡眠習慣の問題、閉塞性睡眠時無呼吸や睡眠時随伴症など、何らかの睡眠障害を抱えていることが明らかになっています。(※)
(※)厚労省「健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~ 」より引用
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-007
子どもの睡眠障害で代表的なのは「閉塞性睡眠時無呼吸」です。有病率は約1~3%といわれていますが、実際にはもっと多い(12~20%)可能性がある、との報告もあり、重度の場合には、日中の集中困難や学習能力の低下などがみられます。
成人の場合「10秒以上の呼吸停止が、1晩(7時間の睡眠中)に30回以上、または1時間に5回以上ある」ことが診断基準とされていますが、小児の場合「無呼吸時間が10秒に至らなくても、2回分の呼吸停止があれば無呼吸と診断できる」とされています。(見解により多少異なります)
このように、睡眠時無呼吸は、脳と身体が慢性的な酸素不足状態に置かれる深刻な疾患です。そして、この睡眠時無呼吸は、「口呼吸」と切っても切れない関係があるのです。
■口呼吸と睡眠時無呼吸の関係と、全身にもたらす健康リスク

就寝中に口呼吸になっていると、舌が喉の奥へ下がり、気道を塞ぎます。
狭くなった気道で空気が振動して出る音がいびき、さらに悪化し、気道が完全にふさがって一定時間以上呼吸が止まってしまうのが、睡眠時無呼吸の状態です。
いびきや睡眠時無呼吸は、睡眠の質を下げ、疲れやすくなるだけでなく、脳への酸素供給を妨げ、心身の発達に影響を及ぼします。いびきや睡眠時無呼吸とは、就寝中の口呼吸ともいえます。
口呼吸では、酸素の摂取効率が下がります。これらはいずれも「慢性的な酸素不足状態」ともいえるのです。
【口呼吸がもたらす健康リスク】
- 自浄作用の低下:お口の中が乾燥して唾液が減少すると、唾液が持つ「自浄作用」や「抗菌作用」が十分に働かなくなります。その結果、むし歯や歯周病が進行しやすくなります。
- 深刻な口臭:唾液の減少により細菌が繁殖しやすくなり、強い口臭を発生させます。
- 感染リスク:口呼吸では、鼻のフィルター機能がないので、ウィルスや細菌が直接身体に入ります。風邪やインフルエンザにもかかりやすくなります。
- 歯並びの悪化:口呼吸では舌の位置が下がります。歯列を境とする、舌側と唇側の筋肉の圧力バランスの崩れにより、歯並びの乱れを引き起こします。
■いびき・口呼吸が子どもの脳に及ぼす影響
メリーランド大学医学部(UMSOM)の研究者らが行った大規模調査(Nature Communications誌掲載)では、9〜10歳の子ども10,000人以上のMRI画像を分析した結果、衝撃的な事実が明らかになりました(※)。
【研究結果のポイント】
- 週3回以上いびきをかく子どもは、脳の前頭葉(推論・衝動制御を担う領域)の灰白質が薄くなる傾向がある
- この脳の変化はADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもに見られるものと類似していた
- アメリカの子どもの最大10%が閉塞性睡眠障害を抱え、かなりの割合がADHDと誤診されている
- 「脳には自己修復能力がある。睡眠障害を適時に認識し治療することで脳の変化を軽減できる可能性がある」(研究者コメント)
- 研究者は「週に2回以上いびきをかいている子どもがいる場合、検査が必要です」と明確に警告しています。集中力の低下・学習障害・衝動的な行動などの背景に、睡眠中の口呼吸・いびきが隠れているケースがあります。
いびきや睡眠時無呼吸症候群は、口呼吸とほぼ同義の現象です。就寝中に口が開くと、舌が喉の奥へ下がり気道を塞ぎます。その結果、脳への酸素供給が妨げられ、「脳への直接的な影響」から心身の発達へも影響を及ぼす可能性が指摘されているのです。
※論文URL:https://www.medschool.umaryland.edu/news/2021/um-school-of-medicine-researchers-find-habitual-snoring-linked-to-significant-brain-changes-in-children-.html
■口呼吸の根本原因は「骨格」にある
口呼吸の原因は鼻炎・アレルギー、扁桃・アデノイドの問題など様々ですが、中でも当院が注目するのは「顔面骨格の構造の問題」と「舌(舌骨)の位置」です。
舌が正しい位置にある場合、つまり鼻呼吸ができている場合、舌は中顔面を正しく成長させるガイド役になります。鼻に関わる部分も健全な成長をしやすく、鼻副鼻腔の容積も確保されやすくなります。歯が生えるために必要なスペースを広げる力もあります。
一方、舌がきちんと正しい位置にない場合、つまり口呼吸になってしまっている場合、舌は中顔面を正しく成長させるガイド役を担えません。鼻に関わる部分の成長も望みにくく、鼻副鼻腔の容積確保も心配です。歯が生えるために必要なスペースを広げる力もありません。


口呼吸が続くことで舌が上顎から離れ、骨格の成長方向が歪んでいきます。そして骨格の問題が進行すると、もはや鼻での呼吸自体が難しくなる――これが「口呼吸が口呼吸を固定してしまう負の連鎖」です。
「様子を見ていればそのうち治る」というのは、最もリスクのある対応です。骨格の問題へと進展してしまうと、自然によくなる理屈はほとんどないからです。
■RAMPAセラピーとはーー骨格から呼吸を取り戻す治療
当院が提供するRAMPAセラピー(Right Angle Maxillary Protraction Appliance=正しい方向へ上顎を牽引する装置)は、舌本来の力を人工的に作り出し、同じような力のベクトルをかけてあげることで、上顎骨を「上前方」へと三次元的に成長誘導する治療です。これによりーー
- 上顎が上がることで鼻副鼻腔の容積が確保され、鼻呼吸がしやすくなります
- 下顎が連動して上がることで気道が広がり、いびき・睡眠時無呼吸が改善されます
睡眠障害が「診療科」として認知される時代になりましたが、薬や行動療法では十分な改善に繋がらないケースも、まだまだあると考えられています。そのような中、骨格という根本原因へとアプローチできるRAMPAセラピーは、今後ますます重要な選択肢となると考えています。


※画像は、鼻腔・副鼻腔の容積の変化と気道容積の変化イメージをCT画像から抜粋しています。
ビフォーアフターの意図はありませんので数値は割愛しますが、治療前にはこれらの検査を行い、呼吸の健全化を目的とするRAMPAの効果は画像と数値で示されます。
これまでの治療実績の中で、いびきや睡眠時無呼吸のほか、鼻副鼻腔炎・中耳炎・喘息・などの疾患が骨格への歯科的アプローチから改善されています。
また、先天的な骨格の問題から、いびきや睡眠時無呼吸に悩まされていたダウン症候群の患者様は、RAMPA セラピーにより鼻副鼻腔と気道の容積が増加。睡眠時無呼吸やいびき、鼻閉が大幅に改善しました。
さらに、約54%が 呼吸困難で早期死亡するとされている・アントレー・ビクスラー症候群の患者様は、RAMPAにより気道容積が約2倍に拡大し、呼吸困難や中耳炎、いびきなどが改善。生命維持にかかわる重要な改善をもたらしました。
■口呼吸の放置は後悔に|子どもたちの「生きる力」を育てる
お子様の口呼吸や睡眠の問題など少しでも気になることがあるならば、まずは医療機関にご相談ください。
ただしその場合、CT・セファロ(頭部X線規格写真)などを用いた、頭蓋骨全体の検査をすることを強くおすすめします。現状を正確に把握するために、それらのデータは不可欠です。検査を経ずして、「遺伝です」「骨格です」「仕方ない」で済ませてよいはずがありません。
成長期は、終わったら戻れません。でも今なら、まだ間に合う時期のお子様がほとんどです。
少しでも子どもたちのサインに気づいたら、決して先送りにせず、問題と正面から向き合っていただきたいと思います。
ご予約・ご相談
RESERVATION
当院は完全予約制で診療を行っています。
ご予約はお電話・オンラインで承っております。
お急ぎの方は、お電話でお問い合わせください。
お気軽にご連絡ください!
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 8:30 - 13:00 | ● | ● | ● | ● | / | ● | / | / |
| 14:00 - 18:00 | ● | ● | ● | ● | / | ● | / | / |
休診日: 金・日・祝
※学会出席・研修・祝祭日により、診療日・休診日が変更になる場合があります。
