コラム
口呼吸が引き起こす「顔立ちと歯並び」への影響|口呼吸の構造と根本改善の方法「RAMPAのベクトル」
口呼吸の裏側にある「骨格原因」 口呼吸が子どもの顔立ちと歯並びに影響する理由
子どもが寝ている顔を、まじまじと覗いてみたことはありますか?
その時、口は開いていませんでしたか?
いびきはかいていませんでしたか?
「疲れているのかな」「そのうち直るかな」と、そっとしてきた。でもなかなか直らない‥時間だけが過ぎてしまう。

少し、立ち止まって考えてみてください。
口呼吸が続くとき、舌は本来あるべき場所「上顎」から離れています。舌がそこにない間、上顎を内側から支える力はゼロになります。成長期の顎の骨格は、その力を受けながら育ちます。その力を受けられなかった骨格は、ゆっくりと、けれど確実に違う方向へ育っていきます。
歯並び、顎の形、顔立ちーーそれらは「遺伝」では決まりません。原因の多くは、生後の生活環境による後天的なもの。「生まれつき」ではなく、骨格がそう育ってしまった。その背景にあるのが、口呼吸の放置です。
口呼吸の定義は明確です。鼻ではなく、口で呼吸をしていること。
ただ、呼吸のための機能は鼻にのみあります。口呼吸でもなんとか酸素は取り込めますが、実は身体としてみたら不都合が多い。
口の本来の役割は「食べる・話す」です。
本職ではない呼吸をやらされるのですから、呼吸の質が下がるのは必然です。口からでも鼻からでも、空気が吸えるなら一緒ではありません。
よく指摘をされているのが、鼻の「空気清浄器」と「加湿・加温器」としての機能です。これらの機能が、口呼吸にはありません。
- フィルター機能:鼻毛や繊毛が、埃や細菌、ウイルス、花粉などの侵入を阻止します
- 空気の調整:乾いた冷たい空気を粘膜で加湿・加温し、肺への負担を軽減します
さらに、口呼吸では、酸素摂取効率が鼻呼吸より劣ります。これも困ります。だったら、鼻呼吸に直さないと‥
ことはそう単純ではありません。息苦しいというシグナルを感じると、身体は効率よりも「手っ取り早く量を吸える口呼吸」を優先してしまいます。だから、口呼吸が日常化しやすい。ただ、もっと困ることがあります。
上顎についた舌が、骨格の正しい成長には必要です。この働きがないと鼻副鼻腔の成長も難しい。つまり、日常化では済ませられない、骨格的な問題による半強制的な口呼吸です。
これが「口呼吸が口呼吸を固定してしまう負の連鎖」です。
今はまだ、単なる癖で済んでいるならば、間に合うかもしれません。ですが、それを判断できるのは医療です。親御様の判断による様子見はリスクになります。
赤ちゃんは授乳中、鼻でしか呼吸ができないので「離乳が早いと口呼吸を習慣化させる」と指摘されることがあります。これでは言葉が足りません。
授乳とは、赤ちゃんがお口を鍛えるためのトレーニングです。ここで大切なのが、正しい舌の使い方。ただ、授乳をしていればいいのではなく、正しい授乳の仕方を知っておく必要があります。
離乳が早いことではなく、きちんとした舌のトレーニングができていないことが口呼吸の一因です。
おしゃぶりについても注意が必要です。鼻呼吸促進と謳われている商品もありますが、ただ咥えているおしゃぶりと授乳は違います。おしゃぶりが鼻呼吸を促進する根拠は薄いです。単に口を塞がれているから鼻呼吸しかできないだけで、それでは「舌が上顎についていない状態の形だけの鼻呼吸」であって、鼻呼吸の意味を理解していません。
上顎についた舌(この場合、鼻呼吸しかできません)が、正しい骨格を育てます。
成長にも正しい理屈と順序があります。目安とされている時期より「早く立った」「ハイハイなんかしなかった」。これらは「成長が早く進んでいる」と好意的に受け取られがちですが、大切な過程を飛ばしている可能性があります。早いことは決していいことではありません。
ここではいびき・睡眠時無呼吸に関する重要な論文記事をご紹介します。いびきや睡眠時無呼吸は、口呼吸とほぼ同義の現象です。
記事はリンク先ページを自動翻訳したものの転載です。いびきや睡眠時無呼吸のリスクについての研究論文の抜粋です。発表に関して、当院やRAMPAとの直接のつながりはありません。子どもたちが直面している問題について、知識として知ってほしいと願い、転載しています。表示上、一部調整しています。
この発見は、いびきや睡眠障害が不注意、多動、攻撃性などの行動上の問題と関連している理由を説明できるかもしれない
定期的にいびきをかく子供は、脳の構造変化がみられ、それが集中力の欠如、多動性、学校での学習障害など、いびきに関連する行動上の問題の原因となっている可能性がある。これはメリーランド大学医学部(UMSOM)の研究者らが実施した新しい研究で判明したもので、本日、Nature Communications誌に掲載された。
この研究は、国立薬物乱用研究所(NIDA)と国立衛生研究所の他の 9 つの研究所、センター、オフィスによって支援されました。
この研究を行うために、研究者らは、思春期の脳認知発達 (ABCD)研究に参加した 9 歳から 10 歳の子供 10,000 人以上から収集した MRI 画像を調べました。これは米国における脳の発達と子供の健康に関する最大規模の長期研究であり、UMSOM の研究者らはこの進行中の研究の共同研究者です。
研究者らは、親の報告によると定期的に(週 3 回以上)いびきをかいていた子供は、脳の前頭葉のいくつかの領域で灰白質が薄くなる傾向があることを発見しました。脳のこれらの領域は、高度な推論能力と衝動制御を担っています。これらの領域の皮質が薄くなることは、睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる重篤な睡眠障害に関連する行動障害と相関しています。これらの行動障害には、集中力の欠如、学習障害、衝動的な行動が含まれます。いびきをかくと、呼吸が中断され、脳への酸素供給が減少するため、一晩中睡眠が妨げられます。
「これは、いびきと脳の異常との関連性を詳細に調べたこの種の研究としては最大規模です」と、UMSOM の耳鼻咽喉科・頭頸部外科および小児科の准教授で、研究の筆頭著者である アマル・イザイア医学博士は述べています。
「これらの脳の変化は、注意欠陥多動性障害の子供に見られるものと似ています。子供は認知制御を失っており、それがさらに破壊的な行動と関連しています。」
アメリカの子供の最大10パーセントが閉塞性睡眠障害を患っており、かなりの割合がADHDと誤診され、刺激薬で治療されています。
イザイア博士は親たちに次のようなアドバイスをしました。「週に2回以上いびきをかいている子供がいる場合、その子供を検査する必要があります。現在、脳画像診断による強力な構造的証拠があり、子供の睡眠障害の診断と治療の重要性が強調されています。」
この症状は扁桃腺摘出術とアデノイド切除術で治療することができ、いびき、睡眠中の呼吸停止、口呼吸などの症状がある小児の第一選択治療と考えられています。
※以下の文のみ加筆しています。
"この点に関して、アデノイドの肥大等が直接的な要因であるのならば、手術は第一選択かもしれません。しかし、そうではない要因を抱える子どもたちも少なくありません。成長発達期にある子どもであれば、手術ではなく、RAMPAが第一選択となりうるのではないかと考えています。"
「脳は、特に子供の場合、自己修復能力があることが分かっています。そのため、閉塞性睡眠障害呼吸を適時に認識し治療することで、脳の変化を軽減できる可能性があります。これらの関係のメカニズムを検証するには、さらなる研究が必要であり、それによりさらなる治療アプローチも生まれる可能性があります」と、 ABCD研究の共同主任研究者で、診断放射線学および核医学の教授であり、研究の共著者であるリンダ・チャン医学博士は述べています。
研究者らは、いびきをかき続けた子供たちのMRI検査で脳の所見が悪化したかどうかを調べるために追跡調査を行う予定です。
「この一般的な症状が子供の神経発達に及ぼす影響を測定する脳画像診断の証拠が初めて確認されました」とメリーランド大学ボルチモア校の医療担当執行副学長、ジョン・Z・アキコ・K・バウワーズ特別教授、メリーランド大学医学部学部長のE・アルバート・リース医学博士、経営学修士は述べています。
「これは子供のいびきの異常を適切に診断する必要性を強調する重要な発見です。」
口呼吸は改善できます。ただし、原因を知り、適切な手段をとることが重要です。
口にテープを貼る、鼻で呼吸するように訓練するーーそれらで改善できるならば、当院がお役に立てることはありません。
ですが、その原因が「骨格」ならば、ランパセラピーが改善のための「選択肢」になります。
果たして、伝えられない口呼吸のリスク、メカニズム、そして改善策とは何なのでしょうか?
口呼吸の可能性に気付くためのチェックリスト
「うちの子、口呼吸かも?」と思ったとき、何を確認すればいいでしょうか?もし、気にしていなかったとしても、一度確認してみてください。「行動」のきっかけとは「知ること」です。
□ 気が付くと口が開いている
□ 口を閉じると顎の先に力が入る
□ 唇が乾燥しやすい
□ 食事中にくちゃくちゃと音を立てる
□ 食べる時に飲み物で流し込む
□ 発音しにくそうな言葉がある
□ 猫背になりやすい
□ 寝ている時に口が開いている
□ いびきをかいて寝ている
□ 寝相が非常に悪い
□ 朝起きた時に口が乾いている
□ 寝ても疲れが取れていなさそうに見える
□ 日中に眠そうにしている
□ 鼻づまりが多い
□ 鼻炎やアレルギーがある
□ 風邪をひいていないのに鼻がつまりやすい
□ 鼻をよくすする
□ 鼻はつまっていないのに口で息をしているように見える
□ お口ポカンが日常
□ 歯並びがガタガタしている
□ 出っ歯・受け口の兆しがある
□ 上の前歯が見えやすい・ガミースマイル
□ むし歯や歯肉炎を繰り返す
チェックがついた項目はありましたか?
いくつ当てはまるかで「口呼吸かどうか」が決まるわけではありません。ただ、これらのサインは口呼吸の可能性を示す重要なシグナルです。
口呼吸は、単なる悪癖ではなくーー
- 鼻づまりやアレルギーの問題
- 扁桃やアデノイドの問題
- 顎や顔面骨格の構造の問題
など、さまざまな要因が関係していることがほとんどです。
だからこそ、気を付けていただきたいのが「様子を見ることのリスク」です。
口呼吸が続くと、歯並びだけでなく、顔の骨格自体の成長にも影響が及ぶ可能性があります。骨格の問題へと進展してしまうと、自然によくなる理屈はまずなくなります。
既存の矯正治療に骨格の改善をターゲットにできる構造はありません。健全的な改善を望むためには、RAMPAで骨格にかける力のベクトル「上前方」が必要条件です。
骨格の劣成長が、鼻副鼻腔へ影響が出てしまってからでは、もはや鼻での呼吸自体が難しくなります。
1項目でも「気になる」と感じたら、様子見をせず、医療と現状を把握することが、お子様の将来にとって大きな差になります。
口呼吸がもたらす全身へのリスク
口腔内の健康への影響
- 自浄作用の低下:お口の中が乾燥して唾液が減少すると、唾液が持つ「自浄作用」や「抗菌作用」が十分に働かなくなります。その結果、むし歯や歯周病が進行しやすくなります。
- 深刻な口臭:唾液の減少により細菌が繁殖しやすくなり、強い口臭を発生させます。
- 感染リスク:口呼吸では、鼻のフィルター機能がないので、ウィルスや細菌が直接身体に入ります。風邪やインフルエンザにもかかりやすくなります。
見た目や発育、睡眠への影響
- 顔貌の変化:口周りの筋肉が衰え、口元がぽかんと開いた締まりのない表情になります。骨格の問題まで進行すると、「ガミースマイル」や「アデノイド顔貌」として現れる場合があります。
- 歯並びの悪化:口呼吸では舌の位置が下がります。歯列を境とする、舌側と唇側の筋肉の圧力バランスの崩れにより、歯並びの乱れを引き起こします。
- 睡眠時無呼吸症候群:就寝中に口が開くと、舌が喉の奥へ下がり、気道を塞ぎます。結果、いびきや睡眠時無呼吸症候群を引き起こし、脳への酸素供給を妨げ、心身の発達に影響を及ぼします。口呼吸は「慢性的な酸欠状態」ともいえます。
酸素摂取能力
「口呼吸と鼻呼吸」、呼吸機能として何が違うのでしょうか?
- 空気が鼻腔を通ることで「一酸化窒素」が発生します。
- 空気が「狭い」鼻腔を通ることで抵抗が生まれます。
一酸化窒素には血管拡張作用があり、肺で酸素が血液中に移動する効率が上がります。この機能は口呼吸にはありません。
また、鼻腔の抵抗は、肺での空気の滞留時間を長くします。口呼吸では抵抗がなさすぎて、空気の出し入れが早くなり「浅い呼吸」になりがちです。
深呼吸の際に、鼻から吸って口から「ゆっくり」吐いてください、と教えられるのはこのためです。口をすぼめることで、吐く息のスピードはコントロールできます。
とはいえ、鼻がつまることで抵抗が大きくなり過ぎると、これはこれで息苦しい。運動負荷がかかり、絶対量が足りなくなった際も同様です。
そして、口呼吸でも鼻呼吸でも、息苦しさを感じた脳は、とりあえず「量を吸える」口呼吸を選択してしまいます。口呼吸が、口呼吸を誘引しています。だから、口呼吸は癖になるし、癖にしか見えないのです。
一生懸命空気を吸っているのに、身体が酸欠…そんな矛盾が、口呼吸やいびきでは起こっています。
口呼吸で顔が伸びる?【アデノイド顔貌とガミースマイル】
アデノイド顔貌とガミースマイルは、どちらも口元や顔貌に関係する言葉ですが、医学的には全く別の概念です。両者は併存することもありますが、原因・診断・治療方針は異なります。
- アデノイド顔貌は「顔面骨格と呼吸機能の問題」
- ガミースマイルは「笑顔時の歯肉露出の問題」
アデノイド顔貌では「上顎の垂直的成長・下顎後退・口唇閉鎖不全等」が起こるため、結果としてガミースマイルを伴うことがあります。
ですが、「アデノイド顔貌 ≠ ガミースマイル」です。
一般的には、アデノイド顔貌は機能障害(呼吸・睡眠・咬合)との関連が重視されるのに対し、ガミースマイルは審美的評価を中心に治療が行われます。
定義:
慢性的な口呼吸や鼻閉によって、成長期に顔面骨格の発育パターンが変化し、特徴的な顔貌を呈した状態を指します。
もともとは咽頭扁桃(アデノイド)肥大による鼻閉が原因として知られていましたが、現在ではアレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症、慢性副鼻腔炎などによる長期の鼻呼吸障害も含めて考えられます。
顔貌の主な特徴:
- 下顔面高の増大(顔が縦に長く見える)
- 上顎前突傾向
- 下顎後退傾向
- オトガイ(顎先)の発育不足
口腔内の主な特徴:
- 高口蓋(口蓋が高く狭い)
- 歯列弓の狭窄
- 上顎前歯の突出
- 不正咬合
機能面の主な特徴:
- 慢性的口呼吸
- いびき
- 睡眠時無呼吸症候群
- 咀嚼機能低下
- 発音障害
発症メカニズム:
鼻閉により口呼吸が習慣化するとーー
- 舌が本来の位置(口蓋)に接しない
- 上顎の成長が不足
- 顔面骨格が垂直方向へ成長
- 下顎が後下方回転
という変化が起こり、特徴的な顔貌を形成すると考えられています。
診断:
- 顔貌診査
- 口腔内診査
- セファログラム(頭部X線規格写真)
- 鼻咽腔内視鏡
- CT検査
- 睡眠検査(必要時)
※歯科で、耳鼻科領域の診断は行いません。
治療:
耳鼻咽喉科的治療
- アデノイド切除術
- 扁桃摘出術
- アレルギー性鼻炎治療
- 鼻閉改善手術など
歯科矯正治療
- 急速拡大装置
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
- 顎変形症治療など
重度の場合は、上下顎骨切り術が適応になることがあります。
以上が、一般的にいわれているアデノイド顔貌に関する要点です。
定義:
笑ったときに上顎歯肉(歯ぐき)が過度に露出する状態です。
一般的には、笑顔時に歯肉露出が3〜4mm以上でガミースマイルと評価されることが多いです。
主な特徴:
- 笑うと歯ぐきが大きく見える
- 安静時の顔貌は正常な場合も多い
- 噛み合わせに問題がないことも多い
原因:
- 上顎骨の垂直的成長
上顎が縦方向に過剰発育している状態。最も骨格性要因が強いタイプです。
- 上唇挙上筋の過活動
笑った際に、上唇挙筋、上唇鼻翼挙筋などが、過剰に働くことで歯肉の露出が増加します。
- 上唇が短い
解剖学的に上唇長が短く、笑うと歯肉が見えやすい状態です。
- 歯の萌出異常
歯冠が歯肉に覆われすぎている状態です。
診断:
- 歯肉露出量測定
- 上唇長測定
- セファロ分析
- CT検査
治療:
- 軽症
ボツリヌストキシン注射、歯肉整形術など
- 中等症
歯冠長延長術、矯正治療など
- 重症(骨格性)
上顎骨骨切り術など
以上が、一般的にいわれているガミースマイルに関する要点です。
※上記は、ともに一般的な知識として提示しています。親御様が持たれている知識に近いでしょう。ですが、当院が本当に伝えたいのは、その先にある骨格の劣成長の問題です。無論、それが全てではありません。RAMPAで直接アデノイドの肥大は治せませんし、唇との関係で相対的にガミーに見える場合もそうです。だとしても、「果たして、世の中でいわれている治療って、そのまま選択肢として受け取っていいものでしょうか?」
| 項目 | アデノイド顔貌 | ガミースマイル |
|---|---|---|
| 本質 | 顔の骨格の発達の問題 | 笑顔時の歯ぐきの露出の問題 |
| 診断 | 顔全体の骨格・呼吸機能 | 笑顔時の口元※ |
| 安静時の顔貌 | 顔が縦に伸びている | 一見普通に見える場合も多い |
| 問題点 | 呼吸機能に問題を伴うことが多い | 審美的問題が主 |
※ガミースマイルとは疾患ではありませんので、ガミースマイルという「診断」はありません。歯ぐきが何mm見えたらーーという医学的定義もありません。「あなたはガミーです」と医師に言われる類いのものではないのです。アデノイド顔貌も同様です。顔貌は所見であって、診断はその先にある呼吸機能等に対してされるものです。そして、それらの診断は耳鼻科の先生が行います。
アデノイド顔貌とガミースマイルの根っこは同じ場合がある
- 「顎が小さくて後ろに下がっている(アデノイド顔貌)」
- 「笑ったときに歯ぐきが目立つ(ガミースマイル)」
一見、全く異なる2つの悩みのように思えますが、頭蓋骨の三次元的な成長から考えるRAMPAの視点からいえば、アデノイド顔貌とガミースマイルは「口呼吸によって上顎(中顔面)の骨が下に落ちてしまった」という、同じ原因から生まれた兄弟のような現象です。
口呼吸になっている間、舌が上顎についていません。すると、本来なら前へ上へと成長するはずの上顎が、重力によって下へ落ちてしまいます。
骨格の健全な成長のために、上顎骨を下から支え、正しい成長方向「上前方」へ導くのが、舌の大切な役割。それができている証が「鼻呼吸」、できていない証が「口呼吸」です。
上顎が下へ落ちてしまえば、笑ったときに歯ぐきが露出する「ガミースマイル」になります。一方、落ちてきた上顎に適応するかたちで、下顎は、後ろへ下へと回転しながら位置を合わせようとします。これが、下顎が下がり顔が長く伸びてしまう「アデノイド顔貌」の本質です。
口呼吸習慣だと?


鼻呼吸習慣だと?


上顎が下がると下顎も下がる

口呼吸が引き起こす不正咬合【歯並びへの影響】

不正咬合の種類とは、骨格の劣成長によって表出した「子どもそれぞれの症状」。
その一面が、イラストの「舌圧と頬圧・唇圧」の関係です。このイラストは上顎の健全な在り方、舌が上顎についている(=鼻呼吸ができている)状態を表しています。
では、口呼吸になるとーー
そう、外側の圧力の方が強くなります。その結果が「顎が小さい」「三角の顎」です。
歯が生えるスペースが足りない。歯並びが悪くなる理屈です。代表的なのが「叢生(そうせい)」、ガタガタの歯並びです。
ですが、不正咬合の種類は他にもあります。
いわゆる受け口(反対咬合)ならばどうでしょうか?
- 舌が上顎につかないことによって、上顎を成長させる力のベクトルがなくなります。つまり、相対的に下顎が前に出ているように見えるーー受け口です。
出っ歯(上顎前突)だと?
- 舌が上顎につかず、上顎が下がることによって、下顎も連動して「後下方」に回転するように下がります。つまり、相対的に上顎が前に出ているように見えるーー出っ歯(もしくは過蓋咬合)です。
もちろん、原因の全てを言い当てているものではありません。歯並びが悪くなる原因には、舌で歯を押す癖、舌を出す癖ーーこれらも指摘されています。反対咬合、上顎前突、開咬の原因とされるものです。
ですが、一歩引いてみられてください。実は全て、舌が上顎についていない状況です。本当にそれらは癖と決めつけていいものなのか。
結局は、癖とされるものにも、口呼吸の背景があります。その収束先が「骨格の劣成長」です。その所見の一つが「アデノイド顔貌」であり「ガミースマイル」となります。
不正咬合とは、何か一つにその原因を求めるものではなく、生まれ持った傾向、生後の生活環境、骨格の成長などから表出した「子どもそれぞれの症状」です。
矯正治療をご検討になるならば、矯正相談は必ず通られる過程です。忘れないでください。歯並びが悪くなる原因には少なくない確率で「骨格」が関わります。ご相談の場で、このことに触れない場合、親御様の方から医師へ問いかけ、確認してください。
歯並びをよくしたい。それは十分な動機です。ですが、口呼吸が残ってしまっては、矯正治療は対症療法となります。アプローチすべきは歯列なのか、骨格なのか。今、立っているのは、矯正治療の分岐点です。
叢生(そうせい)

受け口

出っ歯

開咬(かいこう)

口呼吸のメカニズム
口呼吸の原因は様々です。むしろ、何か一つに特定できるものではなく、生活習慣における複合的な要素とした方が適切かもしれません。もともとは本当に癖だった場合もあるでしょう。もしかしたら筋機能の問題かもしれません。運動不足だってそうですし、食習慣だって無関係ではありません。
その中で当院が注目しているのが「舌骨の位置(姿勢・頭位)」です。
これら「口呼吸のきっかけ」に続くのがーー
- 鼻づまりやアレルギーの問題
- 扁桃やアデノイドの問題
などによる「そう簡単には治せない口呼吸」です。実は、鼻づまりやアレルギーの問題にも「顔面骨格の構造の問題」は見え隠れします。根本的に口呼吸を解決するには、耳鼻科の受診も大切ですし、骨格の状態を知ることも大切です。
矯正治療の現実として、もっと大切なのは、歯並びが悪くなる原因を「口呼吸」と指摘しながら、骨格の問題はいつの間にか消えているか、外科矯正へと着地し、歯列の改善に焦点が変わってしまっていることです。この「空白」は見過ごさないでください。
口呼吸と舌骨の関係【姿勢の悪さ】
【舌骨と肩甲舌骨筋の関係】

舌骨(ぜっこつ)という他の骨には接することなく、筋肉によって支えられている小さな骨があります。舌骨は、複数の筋肉のバランスで、その位置が変わります。例えば、姿勢の悪さからくる肩甲舌骨筋の過緊張は舌骨の位置を下方へと引っ張ります。
【舌骨を取り巻く筋肉群】

舌骨は、別の筋肉を介して、舌や下顎とも繋がっています。肩甲舌骨筋の過緊張によって下方へと引っ張られた舌骨は、舌と下顎を下方へと引っ張ります。結果的として、舌が上顎につきにくい状況になります。これは鼻呼吸がしづらい、口呼吸になりやすいという状態です。
口呼吸とは舌が正しい位置にないこと
【舌の位置○】

舌がきちんと正しい位置にある場合、つまり鼻呼吸ができている場合、舌は中顔面を正しく成長させるガイド役になります。鼻に関わる部分も健全な成長をしやすく、鼻副鼻腔の容積も確保されやすくなります。歯が生えるために必要なスペースを広げる力もあります。
【舌の位置??】

舌がきちんと正しい位置にない場合、つまり口呼吸になってしまっている場合、舌は中顔面を正しく成長させるガイド役を担えません。鼻に関わる部分の成長も望みにくく、鼻副鼻腔の容積確保も心配です。歯が生えるために必要なスペースを広げる力もありません。
口呼吸では何を失くす?

イラストの赤矢印は中顔面の健全な成長方向です。
- 口呼吸により舌の支えがなくなることで、中顔面は重力の影響から下方へ成長します。その結果、上顎骨に歪みが生じ、鼻副鼻腔を狭くさせます。
- 口呼吸により下がった舌と、上顎の下方成長に連動して下がった下顎の動きが気道を狭くさせます。
- 上顎から離れた舌の影響で、上顎の正しい成長は阻害され、歯並びが悪くなります。
いずれも原因は、舌が上顎につかないこと(=口呼吸)です。
日常的に舌が正しい位置にきちんとあれば、中顔面の骨格はより健全に近い成長をします。ということは「本来あるべき健全な骨格であれば起こらなかった問題」があるはずです。
間違った成長をしてしまった骨格を改善するのに、もはや舌では力不足です。すでに鼻からの呼吸に支障があるからです。ならば、同じような力を人工的に作り出し、同じような力のベクトルを上顎に与えてあげる。これがランパセラピーという治療の「三次元的成長誘導」です。
上顎が上がれば、下顎はついて上がります。この過程で何が改善されるかは、お分かりですね。ですが、それは過程。目的は子どもたちが正しい呼吸を取り戻すことです。

多くの子どもたちにとって、鼻腔容積、気道容積、歯並び、顔貌、姿勢、これらの問題は持って生まれた負の資産ではありません。元々は持っていたものを「口呼吸」というエラーによって失ってしまったのです。
口呼吸の改善策
- お子様の口呼吸の原因は何なのか?
- 原因に対する適切なアプローチなのか?
これらへの納得と理解が治療成功の鍵です。治療への意識、取り組み方も変わります。耳鼻科的治療が必要なのか、歯科的アプローチが必要なのか、お子様のためにその手間を惜しまないでください。
骨格的原因とされれば、これまでは外科矯正がその選択肢の主軸でした。ランパセラピーとは新たな選択肢。骨格の改善とは決してお手軽ではありませんが、その負担に見合うであろう未来を、治療のメカニズムと人の努力によって取り戻す治療です。


RAMPA前後の比較写真ではありません。治療中の経過例です。
前歯から鼻の下までの距離に注目してみてください。距離が短くなっているのが分かります。上顎の位置が変化しているということです。
つまりーー
- 上顎が上がり、鼻副鼻腔が本来の容積を確保しやすくなります。
- 下顎が上がり、気道が本来の容積を確保しやすくなります。
【治療経過中の骨格形態変化の一例】(青色がRAMPAによって変化した部分)

ネガティブな成長を、本来のかたちに整え直すには、骨格という根本からアプローチする必要があります。それがアデノイドや扁桃の肥大によるものならば、それらへの対処も必要です。
明確な疾患とまではいえず、息ができているなら「それでいいのではないか?」という意見もあります。ですが、お子様はこれから何十年という時間をその身体で生きていきます。
口呼吸となっている時点で、生物の正しい設計図から外れた道を歩んでいるんです。
子どもたちにはこれから続く人生を、なるべくベストな状態でチャレンジしてもらいたい。呼吸とはその基本になるものです。
※画像は鼻腔容積と気道容積のRAMPAによる変化イメージです。




お子様の口呼吸の原因が分かった。骨格にはそんなに大きな兆候は見られなかった。ならばそれを継続できるように対策です。耳鼻科的治療が必要ならば、もちろん耳鼻科で行われます。
セルフケア
- 市販の口閉じテープの利用
- あいうべ体操※
などがありますが、当院はこうお伝えしたいです。きちんと噛んで食事をして、姿勢を悪くすることのないように気をつけて、いっぱい外で遊んでください。生活習慣が原因ならば、それらを改める方がよっぽど治療です。そして、子どもとして当たり前にあるべき姿です。
姿勢を悪くすることで、無用な筋肉の過緊張が生じて、口呼吸になりやすくなります。「鼻がつまっていないのに口呼吸」の正体のです。お子様の口呼吸は、単なる「癖」ではないかもしれません。
※口の周りの筋肉を鍛えるエクササイズです。やり方はインターネット上でも見られますが、歯科で正しいやり方を教わるのか一番いいです。我流になり、もし間違っていたら「意味ない」になってしまいます。
専門的な治療(歯科・矯正歯科)
- 歯科矯正:歯並びが悪いことが、口を閉じられない直接の原因だった場合には有効
- MFT(口腔筋機能療法):舌の位置や口の周りの筋肉のバランスを整える訓練※
※あいうべ体操の発展版です。プログラムとして取り入れている歯科も多いです。
口呼吸の放置は後悔に【子どもたちの生きる力を育てる】
お子様の口呼吸が気になっているならば、まずはご相談をされてください。
ただし、きちんとしたCT・セファロ(頭部X線規格写真)などを用いた頭蓋骨全体の検査が望ましいです。少なくとも現状を知るためには、それらのデータは不可欠です。検査を経ずして、「遺伝です」「骨格です」「仕方ない」はありません。
歯の生え方の問題で口が閉じられない口呼吸もあります。この場合の手段で矯正治療ならば適切です。
治療に、理解と納得は重要な過程です。もし、ワイヤーやマウスピースで口呼吸が直ると説明を受けたならば、「分かりました」で済ませず、「なぜ?どうして?」を大事にしてください。仮に、クリニック側に嫌な顔をされたとしても、それと引き換えにしているのは、お子様の未来です。それ以上の優先事項はありません。
AI検索でも出るくらいに、矯正治療で口呼吸が改善できるとされています。AIの仕組みからいえば、それほどそのような発信がされているということです。どれだけのお子様の口呼吸にそれらが有効なのか、なぜ有効なのかーーもし、ランパセラピーじゃなくても改善といえる結果が得られるのならば、この治療は大変なだけの存在です。
人生のスタート地点。赤ちゃんは、基本的に「鼻呼吸しかできない」生体の構造を持って生まれてきます。ただ、鼻呼吸が難しい=生命の危機では困りますので、さまざまな応急処置を駆使して呼吸を確保します。
なぜ、赤ちゃんは口で息をすることが難しいのか。赤ちゃんの「義務的な鼻呼吸」は、人間の進化におけるメカニズムに基づいています。
解剖学的な構造
- 喉頭(こうとう)の位置が高い:赤ちゃんの喉頭は、大人に比べて非常に高い位置にあります。
- 軟口蓋と会蓋(えがい)の接触:赤ちゃんは口の奥にある「軟口蓋(柔らかい天井)」と、喉の蓋である「会蓋」がほぼ接触した状態にあります。これにより、鼻から肺への空気の通り道が「独立した一本のパイプ」のようになっています。
この構造の最大のメリットは、母乳を飲みながら呼吸を続けられることです。「飲む」と「呼吸」を同時に行うための設計なんです。
- 飲み物のルート:口 → 喉の両脇を通って食道へ
- 空気のルート:鼻 → 軟口蓋の後ろを通って気管へ
この2つのルートが分離されているため、赤ちゃんは窒息のリスクを最小限に抑えながら、長時間おっぱいを飲み続けることができます。大人がこれをやろうとすると、飲み込む瞬間に呼吸を止めなければなりませんが、赤ちゃんにはその必要がありません。
なぜ「口呼吸」に切り替えられないのか?
生後数ヶ月までの赤ちゃんは、舌がお口の空間に対して相対的に大きく、かつ喉頭の位置が高いため、口から吸い込んだ空気をスムーズに気管へ送り込むための空間が十分に確保されていません。
そのため、鼻がつまると赤ちゃんはパニックになり、激しく泣きます。「泣く」という行為は、赤ちゃんができる「強制的な口呼吸」でもあります。
いつから口呼吸ができるようになるのか?
生後4カ月〜6カ月頃になると、成長に伴って、喉頭が徐々に下の方へ降りてきます。
すると、軟口蓋と会蓋の間に隙間ができ、口からの空気も気管へ入るようになります。この時期から、人間特有の複雑な「発語」が可能になり、同時に離乳食を食べる準備が整います。
本来、「生後数ヶ月までは鼻呼吸しかできない」ように設計されている通り、人間は鼻呼吸がデフォルトです。しかし、成長の過程で上顎骨(中顔面)の成長に問題が起こり、鼻腔が狭くなってしまうと、本来は「緊急用」であるはずの口呼吸が、「常用」になってしまいます。
持って生まれた鼻呼吸のシステムが、成長とともに崩れてしまうのか、それとも維持できるのか。その鍵を握るのが「口腔域の骨格の正しい成長」。主役は「上顎についた舌」です。
「口呼吸・いびき・鼻づまり‥」とは、主役がその仕事を降りてしまっているSOS状態なのです。
よくよく思い返してみてください。「顎が小さい」「出っ歯・受け口」「ガミースマイル」、原因は「骨格」とすでに指摘されています。
ですが、既存の矯正歯科のやり方では、骨格への実効力は得られません。だから、歯を並べるために「やむなく抜歯」です。抜歯は「顎の骨格はもう小さいままで仕方がない」という最終決断です。やり直しはききません。
出ている方は引っ込める(出っ歯・受け口)、唇が上がりすぎないように縫い止める(ガミー)、これらの治療といわれるものをどうお考えになりますか?もちろん、治療自体への否定はありません。治療の選択権は、治療を受けられる側の権利です。
そして、既存の矯正治療では骨格への介入が必要とされると、処置は外科矯正(手術)へと結論づけられます。手術に意味のある患者様はいます。ですが、ランパセラピーによって、手術を回避できる患者様も必ずいます。
元々、ほとんどの人には、遺伝子によって正しい設計図は受け継がれています。しかし、生後の成長によって必ずしも正しい発達が得られなかった。だから、顎の骨格は歪み、歯並びが悪くなります。
呼吸や歯列の問題は、頭蓋骨全体の問題と捉え、俯瞰で見る必要があります。
矯正治療とクリニックを選ぶ
今、この記事を読み終えたということは——きっと、心のどこかでお子様の口呼吸が気になっていたということでしょう。
今夜、眠っているお子様の顔を、改めて見てあげてください。
また、口が開いていたなら——それで十分です。それに気付けたならば、もうスタートラインに立っています。成長期は、終わったら戻れません。でも今なら、まだ間に合う時期のお子様がほとんどです。
焦らなくていいです。ただ、先送りだけはしないでください。
以下は、当院の治療前検査の主な項目です。
- 鼻副鼻腔容積・気道容積計測=呼吸時の通気性
- ANSとPNSの距離計測=口蓋のひずみ
- S-Nの距離計測(脳頭蓋底のセラ点とナジオン点の距離)
- ゴニアルアングル計測=下顎のひずみ
- 顔の左右差・頭蓋骨の形状確認
- 頭位・舌位・頚椎の形状確認
- 歯の萌出スペース確認
- 睡眠時無呼吸AHI計測・鼻腔通気度計測
- 3Dによる顔貌と口腔内撮影など

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この記事を監修した人
こどもと女性の歯科クリニック
院長 岡井有子
看護師として京都府内産婦人科等勤務を経て、大阪歯科大学に入学。大阪歯科大学大学院歯学研究科で小児歯科学を学ぶ。歯学博士。
2017年東京都港区麻布十番にランパセラピー専門医院「こどもと女性の歯科クリニック」開院。
2024年「医療法人社団セントワ」開設。同法人理事長就任。
日本小児歯科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・日本ダウン症学会所属。
RAMPA研究会・赤ちゃん歯科ネットワーク所属。
2025年European Conference on Dentistry and Oral Health(パリ)、MENA Congress for Rare Diseases(アブダビ)などにおいて、ランパセラピー学会発表。
プライベートでは2児の母として忙しい毎日を送っている。
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