コラム

赤ちゃんの顎は「まるい」が正解|さんかくの顎は負の連鎖の入口「将来の呼吸と歯並びの分岐点」

三角の顎は骨格の劣成長の重大シグナル 赤ちゃんのお口の異変に気付く「超・早期発見」

赤ちゃんのお口を、そっと開けて見てあげてください。

歯が生えている部分、どんな形をしていますか。なめらかなアーチを描き、親御様の目にまるく映っていたら、理想的な発育に近いです。

でも、前方がとがったような三角形に近い形であれば——それは今すぐ知っておくべきサインかもしれません。

口呼吸の結果、三角の顎に育ったしまった上顎

顎の形とは、たまたまではありません。

口呼吸では、舌が上顎から離れます。本来、内側から上顎を支えるはずの舌の力がなくなると、顎の骨は成長に必要な力のベクトルを得られず、狭まるように育っていきます。この結果が「三角の顎」の正体です。

三角の顎では、鼻腔が狭まり、さらに口呼吸を誘発し、歯並びが乱れていく。この連鎖は、赤ちゃん期から静かに始まっています。

正しく育ったまるい顎(鼻呼吸ができている)
目次

    医科・歯科に限らず、予防は最も大切な意識です。これは矯正治療に関しても例外ではありません。矯正治療=審美と考えると、まだ子どもだし、「あとでもいっか」が、つい頭をよぎります。

    ですが、歯並びが悪くなるのには、原因と過程があります。ある日突然、歯並びが悪くなるわけではありません。「まるい顎」と「三角の顎」はそのサイン。そして、行き着く先は「骨格の問題」です。

    だったらその原因は、取り返しのつかないことになる前に対処するのがベストです。そこにはすでに赤ちゃん期、さらにいうならば胎児期からの成長が関わっています。

    子供のまるい顎と三角の顎の比較
    • 左:三角の顎
    • 右:まるい顎

    文字通り、お口の成長において「左側の成長が△」で「右側の成長が◯」です。乳歯列期のすきっ歯は、ほぼ問題ありません。そうでなければ、乳歯より大きな永久歯は並べません。

    三角の顎、これが矯正歯科で指摘される「顎が小さい」の正体です。そして、これは「成長の結果」。多くは生まれつきのサイズの問題ではありません。

    「顎が小さい方がかわいい」、赤ちゃん歯科に来られた親御様から時々聞く言葉です。だから、「顎を拡げる」と聞くと、どこかネガティブに聞こえてしまう方がいる。

    まず、顎の成長には「歯並び」どころか「呼吸」が関わります。これはお子様の健康に直接関わることです。そして、顎を拡げるという言葉こそ使いますが、本質は「本来はこう成長するであったろう骨格に近づける」です。

    まるい顎(きちんと拡がった顎)が「正解」で、そもそも三角の顎(顎が小さい)は「??‥」の状態なんです。

    もし、外見の変化に心配がありましたら、ランパセラピーによって、顎が拡がった子どもたちからご判断ください。顎を拡げた結果にネガティブな印象は持たれましたか?

    三角の顎
    こどもと女性の歯科クリニック
    まるい顎
    こどもと女性の歯科クリニック

    まるい顎とさんかくの顎

    資料の左側のまるい顎が、理想的に育った顎です。右側のV字のような三角形に近い形の顎は、少々問題を抱えて成長している顎です。これは将来的に矯正治療が必要になる可能性を示すサインです。

    「まるく育つ」「三角に育つ」は、たまたまの現象ではありません。成長の結果です。

    一番上の抱っこの写真は、まるい顎や三角の顎に育つ過程の一例です。下の写真では「歯がきれいに揃いそう」や「歯並び悪くなりそう」は一目瞭然ですね。

    赤ちゃん歯科資料(抱っこ例)

    理想的なお口を育てるには、赤ちゃんの時期からの抱っこの仕方やハイハイの仕方、抱っこ紐の使い方、授乳の仕方、離乳食など多くのことが関わります。

    しかし、これらは生活の中でのお話しです。「すべてに気を付けてください」も正直難しいです。ですが、知っておけば気を付けられる場面は必ずあると思います。

    歯科は「歯のことだけ」は、一昔前のお話し。これらはお口の健康を通して、身体全体を見据えたことだと、ぜひ頭の片隅に置かれてください。

    まるい子宮で過ごす赤ちゃん
    歪なかたちの子宮にいる赤ちゃん

    赤ちゃんの成長は生まれてからではありません。当然、ママのお腹にいる時からすでに始まっています。エコー写真は、理想的なまんまる子宮の形です。自分でCカーブを作って頑張っていますね。赤ちゃんの成長に最適な環境です。

    ですが、子宮の形は近年は様々です。赤ちゃんが過ごしづらいとやっぱり成長に何かしらの影響が出ます。「生まれつき」の一因です。

    抱っこ紐の使い方から

    「抱っこ紐の使い方」についてお話しいたします。今一度、先ほどの資料をご確認ください。

    注目は、右側の写真にあるような抱っこ紐の使い方です。

    赤ちゃん歯科2.1

    頸が後ろに垂れて、ちょうどママの顔を見上げる形でしょうか?ママとしては子どもと目も合い、可愛いですよね。とてもよく分かります。

    まず結論ですが、これは赤ちゃんの正しい成長には非常によくない姿勢です。

    「あれ?でもこれって…」と思いませんか?そう、日常よく見る光景です。

    抱っこ紐の商品紹介でも見かけますが、私は商品より赤ちゃんの姿勢が気になって仕方がありません。お母さんたちはなおさらこの姿勢に違和感を感じないですよね。これでいいんだといわれているようなものです。

    日々の生活によっては、赤ちゃんはかなりの時間をこの体勢で過ごします。このまま寝てしまうことも多いものです。

    では、大人の方、電球を変えるなどで上を向かなくてはいけない作業の経験はありますでしょうか?たった10分でも、ずっとその姿勢でいたら首が痛くなります。筋肉の凝り、緊張という状態です。実は赤ちゃんも一緒。

    舌骨と肩甲舌骨筋の関係を示すイラスト
    舌骨を取り巻く筋肉群を示すイラスト

    舌骨という骨があります。この骨、身体の中で唯一、どの骨とも触れていません。すべて筋肉によって支えられています。舌骨と肩から延びる筋肉が繋がっているのがお分かりでしょうか?

    首周りの筋緊張は、舌骨を下へと引っ張ります。その結果、舌骨は下がり、それにつられて下顎や舌も引っ張られて下がります。

    その結果が「口呼吸」です。

    資料であった「三角(V字)の顎」は、口呼吸になっている子どもの典型的な顎の形です。

    とはいえ「そんなに長い時間、抱っこ紐を使ってないよ」とのご理解では、齟齬が生まれます。抱っこ紐の使い方は一例です。口呼吸を導いてしまう生活習慣の一つ一つが問題です。

    抱っこ紐の一例でも、保育園の送り迎えの間の30分とはいえ、赤ちゃんの習慣として、れっきとした積み重ねになります。

    舌圧と頬圧・唇圧の関係を示すイラスト

    鼻呼吸がきちんとできている方でも、単に上を向くだけで舌が上顎から離れやすくなっていることにお気付きになりますでしょうか?この姿勢は口呼吸になりやすい状況ということです。

    • 例えば、花火大会ーー
    • 例えば、目薬をさすーー

    口呼吸とはつまり、イラストで示す「舌圧」の力が弱くなってることになります。三角の顎になってしまうイメージもできますでしょうか?

    「まるい顎」と「三角の顎」は、赤ちゃんのお口の成長を表している重要なサインです。では、これを「まるい顎=鼻呼吸」、「三角の顎=口呼吸」とした場合、これらの呼吸の違いは酸素を取り入れる能力としても変わってきます。

    鼻呼吸と口呼吸では酸素摂取力が違う?

    口呼吸から考えられる骨格の成長

    舌が上顎につかない(口呼吸)ことによる骨格への影響を示すイラスト

    口呼吸、つまり舌があるべき位置(上顎につく位置)にないことで起こるのが、中顔面(鼻廻りのあたり)の下方成長です。赤ちゃんであっても、例外とはなりません。

    この力に対抗し、下から支えているのが、本来は上顎についているはずの「舌」なんですね。

    つまり、イラストの「赤矢印・黄矢印」VS「青矢印」という構図です。そして困ったことに「赤矢印と黄矢印(重力)」は常時かかる力です。舌の責任は重大です。

    本来であれば、この上顎についた舌は中顔面を上前方という健全な方向へ向かわせる大切な役割があります。そして歯並びにとって大切な、唇側からの筋肉の力とのバランスを取る役割もあります。

    しかし、舌がその役割を果たせないことで下方成長は進み、上顎骨が歪みはじめ、不正咬合や鼻副鼻腔の狭小化へと繋がっていきます。お顔立ちも縦に伸びる方向に成長は進みます。上顎が下がっているガミースマイルはその分かりやすい例です。

    さて、ここまできてしまった場合、骨格はすでにある程度固まってきます。鼻の通りも悪くなり、舌もさらに上顎につきにくいお口の環境となってきます。こうなってしまうと、舌を上顎につければいいとの話ではないですね。

    これでは困ります。どうにかしてこの骨格を整え直して、鼻呼吸がきちんとできるようにできないものでしょうか?

    ここから先は矯正治療「ランパセラピー」のお話しです。

    矯正治療が必要にならないように

    まるい顎と三角の顎、この二つはいずれも日々の生活習慣の積み重ねによってでき上がった結果です。それらの個々の結果から導かれるのが、歯列の問題であり、呼吸の問題です。

    もしも、赤ちゃんのうちから理想的なお口を手に入れられたとしたならば、それは後々手に入れていたかもしれない矯正治療の結果よりも「一生もの」です。

    もし、首に支えのないタイプの抱っこ紐をお使いでしたら、首を支えるオプション品などは使ってあげてください。それぞれのご事情もあるでしょうが、当院ではスリングタイプの抱っこ紐をおすすめしています。

    まだ柔軟性のある赤ちゃんの時期ならば、対処の仕方はあるかもしれません。

    重要キーワードは「口呼吸」。そして、それを導く「首周りの筋緊張」です。

    BABY&Lab

    赤ちゃんセミナーの内容を配信サイト用に編集。赤ちゃんセミナーを追体験しながら、ご家庭で実践できる動画サイトとしてご紹介します。BABY&Labは、赤ちゃんと共にこれから育てていくサイト。まだ生まれたばかりです。

    情報提供:こどもと女性の歯科クリニック

    制作運営:spinnerbait

    こどもと女性の歯科クリニックロゴ

    カテゴリー:

    SNSでシェアする

    こどもと女性の歯科クリニック院長|岡井有子

    この記事を監修した人
    こどもと女性の歯科クリニック
    院長 岡井有子

    看護師として京都府内産婦人科等勤務を経て、大阪歯科大学に入学。大阪歯科大学大学院歯学研究科で小児歯科学を学ぶ。歯学博士。

    2017年東京都港区麻布十番にランパセラピー専門医院「こどもと女性の歯科クリニック」開院。

    2024年「医療法人社団セントワ」開設。同法人理事長就任。

    日本小児歯科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・日本ダウン症学会所属。
    RAMPA研究会・赤ちゃん歯科ネットワーク所属。

    2025年European Conference on Dentistry and Oral Health(パリ)、MENA Congress for Rare Diseases(アブダビ)などにおいて、ランパセラピー学会発表。

    プライベートでは2児の母として忙しい毎日を送っている。

    新着コラム