コラム

赤ちゃんのCカーブ抱っこは骨格構築の必要条件|口呼吸が定着する原因は赤ちゃんなりの姿勢の悪さ

正しい姿勢は、呼吸と歯並びを創る土台 Cカーブは、新生児から始める矯正リスク対策

赤ちゃんを抱っこしている時、口が開いていることに気づいたことはありますか。大丈夫かな‥そう思いながらもそのままにしてきた——

その口呼吸が日常になる時、顎の骨格はそれに合わせて育ち始めます。

今の抱っこの仕方は、5年後の歯並びと呼吸にも繋がっています。Cカーブの姿勢は、赤ちゃんの背骨が自然なカーブを描ける体勢。

首や肩に無用な筋緊張が生まれなければ、舌骨は正しい位置に保たれ、鼻呼吸が促される。そうすれば、顎の骨格は、本来の方向へ育っていきます。

こどもと女性の歯科クリニック

「Cカーブはよくないの?」「いつまで続ければいい?」と心配される親御様も少なくありません。当院では、月齢だけではなく、首や腰の発達、抱っこのときの反り返りや筋緊張を見ながら考えます。Cカーブの目安は腰がすわる頃まで。大切なのは、赤ちゃんに無用な筋緊張をつくらないことです。

目次

    「Cカーブはよくない」と言われる理由

    Cカーブについて調べていると、否定的な情報に出会うことがあります。そこでは主に、3つの心配が語られています。

    • 「背骨が曲がってしまうのではないか」:Cカーブのクッションなどに長時間寝かせることで、背骨の成長に影響が出るのではないか、という心配です。
    • 「病院では平らなところに寝かせるよう言われた」:産院では「平たく硬めのマットレスに」と指導され、ネット上の情報と食い違って戸惑う、という声もよく聞きます。
    • 「極端な情報への不安」:一部では「縦抱きは赤ちゃんにとても良くない」「Cカーブにしないと発達に影響する」といった、かなり強い言い方の情報も見られます。

    まず、極端な断定には、慎重であるべきだと考えています。「Cカーブにしないと発達障害になる」といった表現には、医学的な裏付けがあるとは言えません。そうした情報が、かえって親御様を追い詰めているのではないかと感じることもあります。

    首や肩周りの筋肉に、偏った緊張が生まれないこと。それが、舌を支える舌骨の位置を安定させ、鼻呼吸がしやすい状態に繋がる——Cカーブは、むしろ正しい発達のため。私たちがCカーブを大切にしている理由です。

    だからといって「常にCカーブでなければならない」とは考えていません。

    産院で「平たく硬めのマットレスに」と指導されるのは、窒息や乳幼児突然死症候群のリスクを減らすためです。抱っこの話とは、目的が違います。

    寝かせるときは、硬く平らな寝床へ仰向けで。クッションや姿勢保持用品を寝床に残さないでください。Cカーブを意識していただきたいのは、抱っこと寝かしつけの場面です。眠った後は、安全な寝床へ移してください。

    現実的には、常にCカーブを維持できるわけではありません。ですが、知っていると知らないとでは大きな差があります。

    Cカーブは成長の準備

    赤ちゃんは背中を丸めて包み込まれるように抱っこをされると、ママのお腹にいたときのような安心感が得られるといわれています。Cカーブとは、ママのお腹で過ごしていた頃に近い体勢です。

    赤ちゃんを寝かしつけると、両手をあげて「W」、両足で「M」の姿になっていることがあります。これ、赤ちゃんが自分でCカーブを作るようにがんばっている姿ともいわれています。

    それだけ成長に必要なことと、赤ちゃんなりに分かっているんですよね。赤ちゃんには成長する力が備わっています。すごい!

    なぜ赤ちゃんに「Cカーブ」が必要なのか?

    エコー写真を見てください。そう、赤ちゃんは自分で頑張ってCカーブを作っています。

    人間には、生物学的に未熟な状態で生まれざるを得ない事情があります。

    ですので、ママのお腹にいた時の姿勢、Cカーブは正しい成長のために生まれてからも必要なんですね。本当はまだまだその体勢のまま、ママのお腹で成長したかったのです。


    多くの動物の赤ちゃんは、生まれてしばらくで歩き始めます。一方でヒトは生後1年前後は歩けない動物です。野生動物には野生動物の事情があり、ヒトにはそれを必要としない環境もあります。

    ヒトがもし生まれてすぐ歩くのならば、2歳児くらいの身体の成熟が必要といわれていますが、二足歩行のヒトの骨盤の仕組み上、その大きさまでお腹にいたら自然分娩ができません。そこでヒトの進化は、まだ未熟なうちに出産という道を辿りました。

    生まれてからの成長のために、司令塔である「脳」を最優先にお腹の赤ちゃんは成長していきます。だから赤ちゃんって頭が大きいんです。


    生まれてからの準備が足りないなかで、赤ちゃんは生まれてきてくれています。動物だったら母親のお腹の中でできた準備を、人間の赤ちゃんは生まれてからもしなくてはならないんです。正しい成長のためにCカーブはまだ必要です。

    赤ちゃんはこれから生きていくための準備をがんばっています。親御様をはじめ大人の手助けを必要としています。ならば、正しい成長のお手伝いをしてあげたいものです。

    お口を育てることは、その中の大切な一つです。

    赤ちゃんのお口の発達について

    歯並びが悪くなる原因として、矯正歯科では「顎が小さいこと」が指摘されています。ランパセラピーでは、歯並びが悪くなる原因のほとんどを「上下の顎の劣成長」、もしくは「中顔面の骨格的な発達不良」とお伝えしています。これらは別々のお話ではありません。

    ただ一旦は、「骨格の問題なんだな」で結構です。

    中顔面を示すレントゲン

    中顔面の発達不良の主な要因とは、「口呼吸」。そして骨格の問題とは、成長という「時間」の積み重ねです。

    つまり、そのリスクのスタートは赤ちゃん期です。そして1歳までの短い期間は、子どもの骨格の基礎が作られる大事な時期。赤ちゃんの口呼吸は、可愛いで済ませてはいけない重大案件です。

    成長の過程で、ヒトの赤ちゃんは例外なく、生物としては未熟な状態で生まれてきます。口腔域の骨格をなるべく正しく育ててあげること。それは審美どころか、呼吸という生きる根幹に関わります。

    具体的には、本来望ましくないイレギュラーな筋緊張などが、骨格へと干渉し、お口と全身の発達を左右します。子どもたちを健全な成長に導くための「口育」について、その一例、「Cカーブの抱っこ」を通してお話しします。

    もし理解が大変でしたらこう覚えてください。

    • 「最重要ワードは、鼻呼吸」、つまり鼻呼吸を得るためにはどうすればよいのか?
    • 「最重要NGワードは、口呼吸」、つまり口呼吸とならないためにはどうしたらよいのか?

    当院のお伝えのほとんどは、この2点に集約されます。この先にある多様な問題の、一側面(歯並び)に対応しているのが「矯正治療」です。

    なるべくなら、身体もお口も正しく育ててあげたい。人の親なら誰しも思うことです。ですが「正しい成長=お手軽」ともいきません。やっぱり、大人の手助けと頑張りは必要です。

    お子様はこれから「人生100年時代」を生きていきます。その土台をきちんと整えるのは、親の仕事と責任だけど、やっぱり大変。

    その際は、インターネットではなく、人を頼ってください。SNSとAIに責任感はありません。親御様に寄り添うような優しい言葉の裏に、赤ちゃんへの不利益があるなら「それって優しくないです」。

    「0期矯正」って何?

    歯医者がなぜCカーブを重要視?

    赤ちゃんにも「正しい姿勢」というものがあります。私たち大人は、筋肉の凝りや過緊張で様々な体の不調を感じることがあります。

    ですが、成長期の赤ちゃんは、それらの影響がとりわけ大きく、成長そのものに関わります。特に肩や首の筋肉の過緊張は、舌骨(ぜっこつ)※という骨の位置を引き下げ、直接的な口呼吸へと繋がります。

    この筋肉の過緊張を最小限に抑える姿勢が、赤ちゃんの「Cカーブ」 です。

    ※舌骨は、舌や下顎、肩や首の筋肉とも繋がっています。

    Cカーブの抱っこ例

    ”Cカーブを意識した抱っこの仕方”

    それでは「なぜ、Cカーブ?」について、歯科の視点からお話しします。

    現在、下イラスト右のような歪んだ三角形のようなお口に成長してしまっているお子様が大変多くなっています。この三角形のお口は、歯科のみならず、耳鼻科的な問題まで顕在化してくるであろう兆しの一つです。

    当院では、「むし歯予防」や「矯正治療」の前に、イラスト左のようなまるい健康的なお口に育ててあげたいと考えています。

    健康的なまるいお口を育てる上で、赤ちゃんの成長期におけるCカーブは大切なことと覚えてください。

    6画像

    ここでの重要ワードが「口呼吸」です。ポイントをお伝えします。

    赤ちゃんにとって「いい抱っこ」や「いい抱っこ紐の使い方」「いい授乳の仕方」等ができませんと、赤ちゃんの首周りに負担がかかり、いわゆる筋肉の凝りのような状態になります。

    この首周りの筋緊張に連動して、舌骨の位置が下がります。舌骨の下方移動は別の筋肉を通じて舌を引き下げ、口呼吸へと繋がっていきます。

    つまり順序はこうです。

    1. 赤ちゃんにとって不適切な姿勢
    2. 首周り・背中の筋緊張
    3. 舌骨の位置が下がる
    4. 舌と下顎が下がり口呼吸になる
    5. 顎が「さんかく」になって歯並びに影響
    舌骨と肩甲舌骨筋の関係を示すイラスト
    舌骨を取り巻く筋肉群を示すイラスト

    次のイラストは舌が正しい位置にある場合を示しています。ただ、口呼吸では舌は正しい位置(上顎につく位置)にありません。三角形の顎は、口呼吸となっている子どもの典型的な顎の形です。

    舌がその場を離れ、内と外の圧力のバランスが崩れてしまっている。日常的な口呼吸では、外側の頬圧・唇圧が24時間全てで、勝っています。顎の成長が進まないどころか、歯の生える土台ごと、狭小化する方向に力はかかり続けます。

    これが顎が小さいの正体です。

    舌圧と頬圧・唇圧の関係を示すイラスト

    「舌が下がると、なぜ口呼吸?」は、あえて試してみると分かります。舌を上顎につけないで鼻呼吸をするって結構息苦しいんです。無意識の子どものお口がポカンになるのは当然です。つまり、上顎についた舌が、まるい顎を育てるガイド役なんですね。だから——

    • 鼻呼吸◯
    • 口呼吸✖️

    お口周りの筋力不足、耳鼻科的問題、これらが口呼吸の原因になる場合も、子どもが大きくなれば確かにあるでしょう。ですが、これらっていきなり「赤ちゃん」に当てはまりそうですか?

    そして「口呼吸」では取り込む酸素量が少なくなります。こうなると人間はどうするか?

    受け口、もしくは姿勢を悪くして、気道を開けようと無意識的に反応します。お子様の様子をよく観察されてみてください。

    ここが悪循環の始まりです。ここを放置し、成長が進むと、この口呼吸はそう簡単には治らない、「骨格」を原因とする口呼吸へと性格を変えてしまいます。

    こうなると、骨格をどうにかしない限り、口呼吸のリスクには抗いようがなくなってしまいます。

    口呼吸が気道狭くさせ、姿勢の悪さや受け口に繋がる

    赤ちゃんなりの正しい姿勢が「Cカーブ」

    この赤ちゃんの首周りの筋緊張を招きにくい、つまり首周りへの負担が少ないのが「Cカーブ」の姿勢です。

    「では首をきちんと支えていればいいのでは?」との疑問があるかもしれません。

    首周りに限らず、筋肉は他の筋肉とも連動しています。例えば背中の筋緊張は、首へも連動します。首だけ負担がなければよいとの話ではないので、赤ちゃんが全身でリラックスできるCカーブが必要となるわけです。

    Cカーブの姿勢が一番いいと選んで、赤ちゃんはママのお腹の中で過ごしながら生まれてからの練習をしています。

    抱っこに限らず、寝かしつけるときなどの場面場面で、Cカーブに気を配ってあげてください。

    Cカーブ抱っこはいつまで?|月齢ではなく「腰がすわるまで」

    一般的には、生後4〜6ヶ月頃までが目安とされています。この時期を過ぎると、赤ちゃんの背骨は少しずつS字カーブへと発達していくためです。

    私たちの目安は、月齢よりも「腰がすわるまで」です。おおよそ生後6〜7ヶ月頃にあたりますが、発達には個人差がありますので、月齢そのものより、お子様の状態で判断していただきたいと考えています。

    腰がすわるということは、体幹で自分の姿勢を支えられるようになったということです。その段階になれば、無理にCカーブを保つ必要はありません。

    ただ、正直にお伝えすると、私たちは「可能な限り」続けていただきたいと考えています。

    腰がすわった後も、抱っこの機会はまだ続きます。身体に無用な筋緊張はないか、例えば首が後ろに反っていないかどうか——それらを、卒業の時期に関わらず、見ていただきたいのです。

    Cカーブクッションはいつまで使う?

    クッションの使用期限を基準にするのではなく、赤ちゃん自身の発達を見てあげてください。腰がすわり、自分で姿勢を支えられるようになれば、無理してまでCカーブにこだわる必要はないですが、可能な限りは続けてほしいですね。

    他にも、成長のためのサポートグッズも多く市販されています。もしベビー用品の購入で迷われていましたら、お声がけください。

    念のためお伝えいたしますが、当院とベビー用品等のメーカー・販売店には一切の関係はありません。赤ちゃんのために「おすすめできるかできないか」のみでお伝えしています。

    ※Cカーブクッションは睡眠用として使用せず、眠った後は硬く平らな寝床へ仰向けで移してください。

    Cカーブをつくる、抱っこのポイント

    赤ちゃんの抱っこの4原則
    抱っこ4原則
    1. 脊柱はまぁるく
    2. 四肢は中心で屈曲
    3. おでこ・おへそ・あごが一直線
    4. 首は反らない

    「C」にならない、よくない抱っこ例

    分かりやすいように少々極端にしていますが、写真は望ましくない抱っこの例です。

    大切なのは「Cカーブ」です。「V・U」や「I」はNGですのでご注意ください。

    NGな抱っこ例
    NGな抱っこ例

    健全なお口を育てるCカーブと、取り戻すRAMPA

    抱っこに限らず、まるい顎に育てるには、 赤ちゃんの首周りの筋緊張を招きにくい「Cカーブ」 の姿勢が大切です。健全なお口とは「育てるもの」です。

    赤ちゃんの生育環境や生活習慣が、お口の発達に及ぼすリスクを理解し、赤ちゃんの頑張りのお手伝いをしてあげてください。親御様にしかできないことです。

    これらの問題が、中顔面の発達不良へと発展した場合のアプローチがランパセラピーです。通常、歯科では、ここまでお伝えされることは少ないかもしれません。一般の矯正歯科の目的は「 歯並びの改善」とされていますから 。

    ただ、骨格の発達不良がその原因なのであれば、歯並びにとどまらず、呼吸の問題にも繋がる場合があります。歯並びの悪さとはいわば 「症状の一つ」。正しい成長ができていれば、歯はきちんと生えてくるようにDNAでは設計されています。

    参考文献:

    [1]Conti PBM, Sakano E, Ribeiro MAGO, Schivinski CIS, Ribeiro JD.
    Assessment of the body posture of mouth-breathing children and adolescents.
    J Pediatr (Rio J). 2011;87(4):357–363.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21769416/

    [2]Okuro RT, Morcillo AM, Ribeiro MÂ, Sakano E, Conti PB, Ribeiro JD. Mouth breathing and forward head posture: effects on respiratory biomechanics and exercise capacity in children. J Bras Pneumol. 2011;37(4):471-9.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21881737/

    [3]Milanesi JM, Berwig LC, Busanello-Stella AR, Trevisan ME, da Silva AMT, Corrêa ECR. Nasal patency and craniocervical posture in scholar children. Fisioterapia e Pesquisa.2017;24(3):327-333.
    https://doi.org/10.1590/1809-2950/17648424032017

    [4]Chaves TC, et al.
    Craniocervical posture and hyoid bone position in children with mild and moderate asthma and mouth breathing.
    Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2010;74(9):1021-1027.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20566222/

    BABY&Lab

    赤ちゃんセミナーの内容を配信サイト用に編集。赤ちゃんセミナーを追体験しながら、ご家庭で実践できる動画サイトとしてご紹介します。BABY&Labは、赤ちゃんと共にこれから育てていくサイト。まだ生まれたばかりです。

    情報提供:こどもと女性の歯科クリニック

    制作運営:spinnerbait

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    この記事を書いた人

    こどもと女性の歯科クリニック院長|岡井有子
    麻布十番・広尾:こどもと女性の歯科クリニック

    院長:岡井有子

    大阪歯科大学大学院歯学研究科修了:歯学博士

    医療法人社団セントワ理事長

    所属学会

    • 日本小児歯科学会
    • 日本小児耳鼻咽喉科学会
    • 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会
    • 日本ダウン症学会

    所属研究会

    • RAMPA研究会
    • 歯科保健医療国際協力協議会
    • 赤ちゃん歯科ネットワーク

    2025年学会発表抜粋

    • European Conference on Dentistry and Oral Health
    • MENA Congress for Rare Diseases
    • CMBBE
    • 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

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