コラム
こどもと女性の歯科クリニックは「成長発達総合歯科」|かかりつけ歯科を選ぶということ
赤ちゃん歯科からランパセラピーまで 私たちがRAMPAを子どもたちの正解だと考える理由
「歯並びが悪いから、矯正をする」。多くの方が、そう考えます。
けれど私たちは、歯並びを治療の出発点だとは考えていません。歯並びは、その子の呼吸、舌の位置、姿勢、そして顎の骨格がどう育ってきたか——その最後に現れる「結果」だからです。
当院では、赤ちゃんの抱っこの相談から、成長期の骨格に働きかけるランパセラピー(RAMPA療法)まで、一人のお子様の成長をひと続きのものとして診ています。その姿勢を、私たちは「成長発達総合歯科」と掲げます。
なぜ歯並びを結果と考えるのか。なぜ赤ちゃんの頃から関わるのか。そして、数ある小児矯正の中で、なぜ私たちはRAMPAを正解だと考えるのか——
歯並びは「結果」|私たちが診ているもの
ガタガタの歯並び、受け口、噛み合わせが深い——親御様が気付くのは、多くの場合、歯並びの変化です。けれど、歯は顎の骨という土台の上に並んでいます。土台が十分に育たなければ、歯は並ぶ場所を失います。
では、その土台はなぜ育たなかったのか。当院が見ているのは、そこから先です。
舌が上顎についていること。鼻で呼吸していること。首や肩に余計な緊張がなく、姿勢が保たれていること。こうした毎日の積み重ねが、上顎を内側から支え、本来の方向へ育てていきます。
どこかでその流れが崩れてしまうと、上顎は育つ方向を変え、歯並びだけでなく、鼻の通り道や気道の広さにまで影響が及びます。
だからこそ私たちは、歯並びだけを見ません。歯並びでは解決にならない——呼吸、舌の位置、姿勢、そして顎顔面の骨格まで診る。「原因」に向き合うことが、当院の理念の出発点です。
「成長発達総合歯科」とは
「成長発達総合歯科」とは、子どものお口を、歯だけでなく、呼吸・姿勢・骨格の成長と発達までを総合的に診る、当院の考え方です。
中心にしているのは、出生から12歳頃までの時期です。生まれた瞬間から、赤ちゃんは鼻で呼吸し、舌を上顎につけて過ごすのが本来の姿です。そこから、抱っこ、授乳、離乳食、姿勢、遊び——日々の関わりの中で、顎の骨は少しずつ育っていきます。そして12歳臼歯が生え揃う頃までが、骨格の成長に働きかけられる大切な時期です。
その前後——お母さんのお腹の中にいる時期から中学生頃まで一貫して診ていく——これがこの考え方の枠組みです。
一般的な歯科は、むし歯なら治療、歯並びなら矯正と、症状ごとに分かれています。
けれど、子どものお口の問題は、症状ごとに分けられるものではありません。お口ポカンも、いびきも、受け口も、ガタガタの歯並びも、根っこで繋がっていることが少なくないからです。
私たちはそもそも「歯」だけを診ているわけではありません。マタニティ期から続く赤ちゃんの話、口育、RAMPA——すべてが骨格で繋がっているのに、それらの診療は縦割りになってしまっている。
だからこそ、赤ちゃん歯科とRAMPA専門医院の両方を掲げ、私たちは一貫して診ています。
骨格という根っこを、生まれた時から一本の線として診る。それが「成長発達総合歯科」です。
一本の線で繋がる、子どものお口の育ち
✅出生前|マイナス0.5歳からのお口づくり
赤ちゃんの歯のもとは、妊娠8〜10週頃からつくられ始めます。顎の骨も、ほぼ同じ頃からです。歯が一本もない時期から、お口の土台はもう育ち始めています。当院では、妊娠中から始まるお口づくりを「マイナス0.5歳から始めるお口づくり」と考えています。
コラム:妊娠初期の葉酸と口唇口蓋裂|歯周病と早産「妊娠中の歯科治療」→
✅出生〜1歳|赤ちゃん歯科:抱っこ・授乳・離乳食
生まれたばかりの赤ちゃんの背中は、自然に丸いカーブ(Cカーブ)を描いています。首が反り返るような抱っこが続くと、首周りの筋肉が緊張し、舌を支える舌骨が引き下げられます。舌骨が下がれば、舌も下がる。赤ちゃんにとっての「姿勢の悪さ」が、口呼吸の入口になります。
授乳の姿勢、離乳食の固さと進め方、寝返りやハイハイといった身体の発達も、すべて顎と呼吸の育ちに繋がっています。赤ちゃん歯科は、むし歯を防ぐための場所ではありません。矯正治療が必要にならないお口を、生まれた瞬間から一緒につくっていくための場所です。
コラム:赤ちゃんの歯並びの分かれ道は生後すぐ|今から始めるお口育て→
✅1歳〜就学前|こどもの歯科:予防と、姿勢・呼吸のサイン
歯が生え揃ってくると、むし歯の予防が大切になります。痛い治療の前に、予防として歯医者に通う習慣をつくること。それは、お子様が一生自分の歯で過ごすための土台になります。
同時に、この時期は姿勢や呼吸のサインが見えやすくなる時期でもあります。いつも口が開いている、いびきをかく、食べるのが遅い、乳歯の歯並びに隙間がない。むし歯がなくても、こうしたサインは骨格の育ちを見直すきっかけになります。
✅5歳〜12歳|ランパセラピー:骨格に働きかけられる時期
様々な要因が重なり、骨格の劣成長がすでに進んでいる場合もあります。その場合、当院が考える最適解が、ランパセラピー(RAMPA療法)です。RAMPAの適齢期は5歳〜12歳。上顎の骨格そのものを、本来の成長の方向——前へ、そして上へ導く治療です。
ただ、「適齢期は5歳から」というお伝えは、「それまでは様子見でいい」という意味ではありません。やるかやらないかは、後の話で結構です。まずは、なるべく早く、お子様の今の状態を評価してください。
✅中学生頃まで
12歳臼歯が生え揃った後も、成長は続いています。骨格への働きかけには時期の制約がありますが、今の状態を評価し、できることを一緒に考えることはできます。
すべての根にあるもの|口呼吸と低位舌、そして上顎
お口の成長発達で大切なのは——
「舌が上顎についているかどうか」
当院では、口呼吸を「口が開いているかどうか」ではなく、「舌が上顎についているかどうか」で捉えています。舌が上顎にぴったりついていれば、口の中に空気の通り道はなく、息は自然に鼻を通ります。舌が下がれば、空気は口を通りやすくなります。
最近よく聞く「低位舌」とは、ほぼ口呼吸のことです。では、なぜ舌は上顎から離れてしまうのか。よく「舌の筋力が弱いから」と説明されますが、おっぱいを吸い、食事を噛み、普通に話せる子どもに、舌を持ち上げる力がないとは、私たちには考えにくいことです。
当院が考える理由は、主に三つです。猫背や頭が前に出る姿勢で、舌の根元を支える舌骨が引き下げられていること。鼻の通り道が狭く、舌を下げて口で息をするしかないこと。そして、上顎そのものが狭く、舌が収まる居場所がないことです。
受け口の人と正常な噛み合わせの人を比べた研究でも、受け口の人ほど舌の位置が低く、上顎の歯列の幅が狭いことが報告されています(対象は平均19歳前後の若い成人)[1]。
舌が上顎についていることには、大切な役割があります。上顎を内側から支え、正しい方向へ育てる力です。その支えを失うと、上顎は重力に従って、下へ、内側へと成長の向きを変えていきます。上顎が育つ方向は三つ。前・横・上です。そのどこかが足りなくなると、次のような形で現れます。
| 上顎が育たない方向 | 現れやすい形 |
|---|---|
| 前に育たない | 受け口(相対的に下顎が前に見える) |
| 横に育たない | ガタガタの歯並び(叢生)、狭いV字の歯並び |
| 下に落ちる | 噛み合わせが深い(過蓋咬合)、顔が縦に長く見える |
| (共通して) | 鼻腔が狭くなり、鼻づまり・いびき・お口ポカンが続く |
口呼吸と骨格の関係は、研究でも示されています。アレルギー性鼻炎で口呼吸が続いている8歳前後の子どもを、鼻で呼吸している子どもと比べた研究では、口呼吸の子どもの口蓋(上顎の天井)の面積は13.5%、容積は27.1%小さかったと報告されています[2]。
そして、ここが悪循環の始まりです。上顎が育たなければ、上顎と一体の鼻腔も狭くなり、鼻ではさらに息がしにくくなる。舌の居場所もなくなり、舌はますます上がらなくなる。
はじめは「姿勢」や「鼻づまり」だった問題が、時間とともに「骨格」の問題に入れ替わっていきます。
歯並びは、この流れの最後に現れる結果です。結果だけを整えても、その手前の原因が残っていれば、歯並びは再び崩れていく可能性があります。
「遺伝だから仕方ない」で終わらせない
歯並びや顎の小ささについて、「親御様も同じだから、遺伝ですね」と説明されることがあります。家族に似た骨格の傾向があること自体は、不自然なことではありません。顎の形に遺伝がまったく関係しない、とは言えません。
けれど、不正咬合は、人類の長い歴史から見ればほんの一瞬の、ここ数百年で急速に増えてきました。もしその増加の原因が遺伝なら、その短い期間に、世界中で同じような遺伝的変化が起きたことになります。進化の変化としては、あまりに時間が短すぎます。
スタンフォード大学の研究者らは、学術誌『BioScience』に発表した論文で、広く見られる顎の縮小や不正咬合は、長期的な遺伝的進化よりも、一人ひとりの成長の中で起きている変化——姿勢や生活習慣を含む環境——によるものと考えられると指摘しています[3]。狩猟採集民と農耕民の顎を比べた研究でも、下顎の形は集団間の遺伝的な違いよりも、食べ物や生活の仕方との関連が強いことが示されています[4]。
遺伝という言葉は、ときに原因をブラックボックスにしてしまいます。遺伝的な要素があってもなくても、そこに成長の過程で起きた原因があるのなら、向き合う余地があります。「遺伝だから仕方ない」で思考を止めないこと。それも、当院が大切にしている姿勢です。
既存の小児矯正は「何に」作用するか
小児矯正には、いくつもの装置があります。どれがよい・悪いではありません。作用する対象が違います。
| 装置 | 主に作用するもの | 考えておきたいこと |
|---|---|---|
| 床矯正(拡大床) | 歯を外側へ傾け、歯列の幅を拡げる | 顎の骨そのものを拡げる装置ではない |
| マウスピース型の機能的矯正装置 | 口まわりの筋肉の使い方(筋機能) | 骨格の成長方向を変える力までは期待しにくい |
| 急速拡大装置 | 上顎の中央の継ぎ目を押し広げ、上顎を横に拡げる | 拡がるのは横方向・下がった上顎はそのまま |
| フェイスマスク(上顎前方牽引装置) | 上顎を前へ引く | 引く向きによって、下方向の力も加わる |
| RAMPA | 上顎を前へ、そして上へ、三次元的に牽引 | 口腔外装置を使う・ご家庭の協力が不可欠 |
「顎を拡げる」という同じ言葉で説明されていても、歯列を拡げるのか、上顎骨を横に拡げるのか、下がった上顎を本来の位置へ戻すのかで、扱っている層がまったく違います。上の表で見ると、「前と上」という方向に働きかける装置は、RAMPAの他にありません。
本来、上顎(中顔面)の骨格は、口蓋についた舌の働きによって「前と上」に成長するのが正しいかたちです。
ですが、低位舌、口呼吸、お口ポカン——これらによって正しい成長に届かなかった。ならば、私たちが考える「子どもたちの正解」は再び「前と上」を取り戻すことです。
それが生体の自然な姿、つまり現時点で最もあるべき姿だと考えるからです。
ワイヤーやマウスピースで歯を一本ずつ動かす矯正は、歯を並べることには優れた治療です。ただ、それは正しい土台の上での話です。当院がワイヤーやマウスピースで歯を動かす治療を基本的に行わないのは、せっかく上げた上顎が、歯を動かすことで再び下がる可能性を否定できないからです。
生体は全体のバランスで成り立っています。歯並びが悪いから歯並びを治す——それではどこかのバランスが崩れる可能性があるのです。
エビデンスの現在地|「証明されていない」のは誰か
RAMPAについて調べると、「エビデンスはあるのか」という問いに必ず出会います。大切な問いです。だからこそ、同じ物差しを、すべての矯正治療に当ててみます。
呼吸の改善を証明した矯正治療は、まだありません
ここでいう「呼吸の改善」とは、CTで気道が少し拡がった、鼻腔抵抗の数値が下がった、という意味ではありません。
鼻で安定して呼吸できること。口呼吸が改善すること。睡眠中の呼吸や酸素化が改善すること。そして、その状態が成長の中で維持されること。私たちは、そこまでを含めて「呼吸の改善」と考えています。
口の中の装置や機能的矯正装置が、子どもの睡眠時無呼吸に効果的なのかを調べたコクランレビュー(2016年)では、基準を満たした試験は1本、子ども23人だけでした。結論は「有効とも無効とも言えるだけの証拠がない」というものです[5]。
急速拡大装置については、拡大後に無呼吸の指標が下がったという報告をまとめた研究があります[6]。ただ、研究の質は高くなく、長く追跡した研究は限られています。そして、拡げているのは横方向です。
MFT(口腔筋機能療法)の効果を調べた研究のレビューでは、355本の研究のうち基準を満たしたのは4本で、そのすべてが偏り(バイアス)のリスクが高いと評価されています[7]。
骨格を「前と上」へ動かすことを狙った装置は、他にない
フェイスマスクの効果をまとめたメタ分析では、上顎が前に出る効果が確認される一方で、下顎が後ろへ回転する——つまり顔が縦に伸びる方向の変化も、望ましくない副作用として報告されています[8]。フェイスマスクでは前へは出ても、下へも行くということです。上顎を「前と上」へ戻すことを狙った装置は、RAMPA以外にありません。だから、他の装置にはその論文も存在しません。
では、RAMPAは——
RAMPAにも、ランダム化比較試験のような最も高い水準のエビデンスは、まだありません。それは正直にお伝えします。
一方で、RAMPAには、装置が上顎にどのような力を伝えるかを解析した力学的な研究があります[9][10]。そして、RAMPAによる鼻腔の拡がりと鼻・副鼻腔の空気の流れを、シミュレーションと症例から検討した研究[11]や、頭蓋顔面の成長変化を実際の患者データから報告した査読付き論文[12]があります。
ただし、この2本には当院院長が共著者として参加しており、第三者による独立した検証ではないことも、あわせてお伝えしておきます。RAMPAそのもののエビデンスの段階については、別のコラムで詳しくお伝えしています。
まとめると、こうなります。呼吸の改善についても、上顎を上前方へ戻すことについても、高い水準で証明された矯正治療は、まだ一つもありません。既存の矯正治療に数多くある論文は、主に「歯がどう並んだか」についてのものです。
ですが、すべてが解明されるのを待っていても、子どもの成長は待ってくれません。だから私たちは、分かっている事実と、解剖学の理屈と、自分たちの臨床データを積み重ね、その上で選んでいます。それが、医学が一歩ずつ進んできたやり方でもあると考えています。
小児矯正のクリニックを選ぶときに、確かめてほしいこと
装置や費用を比べる前に、確かめてほしいことがあります。小児矯正は、どの装置を選ぶかより先に、そのクリニックが「何を診て」治療を決めているかで、向かう先が変わる治療だからです。
① 歯並びの「原因」を、検査で評価しているか
口の中の写真や歯型だけでなく、レントゲンなどで、骨格や気道、鼻の通り道まで診ているか。歯並びがなぜそうなったのかの説明があるかどうかが、最初の分かれ目です。
② 呼吸と姿勢の話が出てくるか
お口ポカン、いびき、寝ている時の様子、姿勢。歯並びの相談をしたときに、こうした話題に触れてもらえるかどうかは、骨格と呼吸まで診ているかの目安になります。
③ 装置が「何に」作用するかを説明してくれるか
その装置が動かすのは、歯列なのか、筋肉の使い方なのか、骨格なのか。骨格なら、どの方向へなのか。「顎を拡げます」という言葉だけで終わらず、その中身まで説明があるかを確かめてください。
④ 抜歯が前提になっていないか
「将来、抜歯が必要になるかもしれません」という説明が、骨格の評価をしないまま出てきていないか。抜歯は、骨格は変えられないという判断でもあります。
⑤ 「治療しない」という選択肢も示してくれるか
評価の結果によっては、今は治療をしない、あるいはその装置は合わない、という答えもあるはずです。勧めない理由を説明してくれるかどうかも、大切な目安です。
⑥ 根拠を、限界も含めて話してくれるか
「必ず治ります」ではなく、分かっていることと、まだ分かっていないことを分けて話してくれるか。治療の負担や費用、期間についても、先に包み隠さず説明があるか。
この6つは、当院自身に向けた問いかけでもあります。次の節は、その問いに対する、私たちの答えです。
私たちがRAMPAを正解だと考える理由
私たちがRAMPAを子どもたちの正解だと考える理由——
① 方向が、原因と一致している
歯並び悪化の原因の多くが、上顎が前・横・上に育たなかったことにあるのなら、治療が目指すべきは、上顎を本来の方向へ戻すことです。RAMPAは、その「上前方」という方向を得るために設計された装置です。
上顎骨は、歯が並ぶ土台であると同時に、鼻腔の土台でもあります。上顎を本来の位置へ戻すことは、歯並びの土台と、呼吸の通り道を、同時に整え直すことに繋がります。原因と治療の方向が一致していること。それが、私たちがRAMPAを選ぶ一番の理由です。
② 成長期の骨格に、間に合う
骨格に働きかけられるのは、骨が成長している時期だけです。大人になってから骨格の問題に向き合おうとすると、選択肢は抜歯や外科手術に限られてきます。RAMPAの適齢期である5歳〜12歳は、まさにその「間に合う」時期です。ランパセラピーに、抜歯の前提はありません。
コラム:子どもの矯正で抜歯は避けるべき|医療が抜歯を選ぶ責任の重さ→
③ 評価から始める
同じ装置を使っていても、同じ医療とは限りません。当院では、治療の前に、鼻副鼻腔と気道の容積、口蓋の歪み、下顎の角度、頭の位置や舌の位置、睡眠時の呼吸などを検査し、「なぜ歯並びがそうなったのか」を評価します。原因が骨格にない場合は、RAMPAをお勧めしません。
④ 臨床と研究を、続けている
当院は2017年の開院以来、600人を超えるお子様にランパセラピーを行ってきました。治療を続けるだけでなく、国内外の学会で発表し、査読付きの国際誌に論文として報告し、海外の工学者を含む研究チームとともに、RAMPAの科学的な検証に取り組んでいます。研究・論文発表まで行うランパセラピーの専門医院は、国内ではまだ2院にとどまります。
私たちがRAMPAを正解だと言えるのは、それが「信じているから」というファンタジーではなく、毎日の臨床で確かめ検証し続けているから、なのです。
正直にお伝えする、ランパセラピーの負担
正解だと考えるからこそ、ご負担まできちんとお伝えします。
・ 装置の見た目:顔の外につける装置を使います。学校にいる間は外していても構いませんが、就寝時やおうち時間での装着時間の確保が必要です。
・ ご家庭の協力:装着時間を守ること、姿勢や生活習慣を見直すことなど、ご家庭の努力が不可欠な治療です。
・ 費用と期間:矯正費用は165万円で、その他に都度の調整料などがかかります。期間の目安は2〜4年ですが、お子様の年齢や状況により異なります。
・ 「芸術的な歯並び」ではない:骨格を整え、歯が自然に並ぶ土台をつくる治療です。12歳臼歯が生え揃う頃を目安に、自然な歯並びに整っていきますが、一本一本を機械的に並べる矯正とは目的が違います。
それでも、一番の願いはRAMPAが必要にならないこと
私たちの本当の願いは、お子様にRAMPAを受けていただくことではありません。
赤ちゃん期の抱っこ、授乳、離乳食——幼児期の姿勢と外遊び。その積み重ねで、健やかな骨格と鼻呼吸を育み、矯正治療そのものが必要にならない未来をつくること。それが「成長発達総合歯科」の、真の目標です。
矯正が必要ないということは、お口がきちんと育っているということ。お口が育っているということは、鼻で呼吸ができているということ。歯並びは、その結果としてついてきます。
そして、それでも成長の途中でサポートが必要になったお子様には、ランパセラピーという次の選択肢があります。赤ちゃん歯科とランパセラピーは、別々の診療ではなく、同じゴールに向かう一本の道にあるアプローチの違いだけなのです。
院長について|看護師として、母として
当院の院長は、歯科医師になる前、看護師として働いていました。
看護の現場で、胃ろうになった患者様が、リハビリを経て再び口から食べられるようになっていく姿を見てきました。感じたのは、「食べることは、人生の大きな喜びだ」ということ。同時に、高齢になってからの対症療法には限界があり、もっと早く、子どもの頃からお口に関わることの大切さを痛感しました。産婦人科でお母さんと赤ちゃんを見てきた経験も、今の赤ちゃん歯科に繋がっています。
歯科医師になってからは、大学院で咬合育成(噛み合わせの育成)を研究し、歯学博士を取得しました。大学院を修了する頃、担当患者様の治療を引き継げる先を探す中で出会ったのが、RAMPAです。「これだ」と確信し、本格的に学び始めました。
2017年、育児との両立を考えて東京に移り、3人のスタッフとともにこのクリニックを開院しました。当時、国内にRAMPAの専門医院はほとんどありませんでした。
それでも、「RAMPAを本当に必要とする子どもたちに全力を注ぐ」と決め、ランパセラピー専門医院「こどもと女性の歯科クリニック」が生まれました。
先天性疾患を持つ子どもたちへ
当院は、ダウン症など先天性疾患を持つお子様へのランパセラピーにも取り組み、その経過を国内外の学会や論文で報告してきました。
ランパセラピーが、疾患そのものを治すことはできません。それでも、呼吸という、生きることの土台に関わる部分に、わずかでも寄与できる可能性があるならば、その可能性は簡単に手放したくありません。すべての子どもに、等しく「伸び代」があってほしい。そう願っています。
歯科医師である私が、我が子の歯並びを悪くした話
恥ずかしい話も、一つお伝えします。
コロナ禍の前まで、我が子の姿勢はよい方でした。それが、外出自粛とオンライン授業で変わりました。家にいる時間が増え、ゲームもテレビも黙認した。仕事と家事と育児のなかで、そこまで手が回らなかったのです。そして、あっという間に、姿勢も歯並びも崩れていきました。
子どもの顎がどう育ち、何をすれば崩れるのかを毎日説明している歯科医師でさえ、こうなります。だから私たちは、「ちゃんとやりましょう」とだけ伝えることはしません。やったのに、うまくいかなかった。ですが、それは諦める理由ではないことを伝え続けたいと思っています。
お母様ご自身のお口について
「こどもと女性の歯科」という名前のとおり、お母様ご自身のお口も大切にしています。大人の骨格に歯科ができることは、正直なところ多くはありません。それでも、妊娠期のお口のケアや、ご自身のお口を清潔に保つことは、赤ちゃんが生まれて最初に出会う環境を整えることでもあります。
よくある質問
Q. 「成長発達総合歯科」とは何ですか?
——A. 子どものお口を、歯だけでなく、呼吸・姿勢・骨格の成長と発達まで総合的に診る、当院の考え方です。出生から12歳頃までを中心に、出生前と中学生頃まで包括的に関わっています。
Q. 何歳から相談できますか?
——A. 年齢の制限はありません。生まれたばかりの赤ちゃんの抱っこや授乳のご相談から承っています。骨格が育つ時期は限られているので、気になった今がご相談のタイミングです。
Q. RAMPA以外の矯正治療は受けられますか?
——A. 当院の小児矯正はランパセラピーのみです。一般的な矯正治療とは視点や目的が違い、一貫したご説明ができないためです。評価の結果、骨格に原因がないと判断した場合は、RAMPAはお勧めしません。
Q. RAMPAのエビデンスはありますか?
——A. 力学的な研究と、実際の患者データを報告した査読付き論文があります。ただし、ランダム化比較試験のような最も高い水準の証拠はまだありません。呼吸の改善や上顎を上前方へ戻すことについては、他の矯正治療も含め、高い水準で証明された治療はまだないのが現状です。
参考文献:
[1] Primozic J, Farčnik F, Perinetti G, Richmond S, Ovsenik M. The association of tongue posture with the dentoalveolar maxillary and mandibular morphology in Class III malocclusion: a controlled study. Eur J Orthod. 2013;35(3):388-393. https://academic.oup.com/ejo/article/35/3/388/450766
[2] Lione R, Franchi L, Huanca Ghislanzoni L, Primozic J, Buongiorno M, Cozza P. Palatal surface and volume in mouth-breathing subjects evaluated with three-dimensional analysis of digital dental casts—a controlled study. Eur J Orthod. 2014. https://art.torvergata.it/handle/2108/95127
[3] Kahn S, Ehrlich P, Feldman M, Sapolsky R, Wong S. Jaw Epidemic: Recognition, Origins, Cures, and Prevention. BioScience. 2020;70(9):759-771. https://academic.oup.com/bioscience/article/70/9/759/5872832
[4] von Cramon-Taubadel N. Global human mandibular variation reflects differences in agricultural and hunter-gatherer subsistence strategies. Proc Natl Acad Sci USA. 2011;108(49):19546-19551. https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1113050108
[5] Carvalho FR, et al. Oral appliances and functional orthopaedic appliances for obstructive sleep apnoea in children. Cochrane Database Syst Rev. 2016. https://www.cochrane.org/evidence/CD005520_oral-appliances-and-functional-orthopaedic-appliances-obstructive-sleep-apnoea-children
[6] Rapid maxillary expansion and obstructive sleep apnea: A review and meta-analysis. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4920460/
[7] Felício CM, et al. Effectiveness of orofacial myofunctional therapy. Dental Press J Orthod. 2014.
[8] Zhang W, et al. The Effects of Maxillary Protraction with or without Rapid Maxillary Expansion and Age Factors in Treating Class III Malocclusion: A Meta-Analysis. PLoS One. 2015. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4466237/
[9] Mitani Y, Choi B, Choi J. Anterosuperior protraction of maxillae using RAMPA; FEM. Comput Methods Biomech Biomed Engin. 2018;21:722-729.
[10] Moshfeghi M, et al. FE simulations of RAMPA. Angle Orthod. 2021;91(6):804-814.
[11] Moshfeghi M, et al. Impact of RAMPA Therapy on Nasal Cavity Expansion and Paranasal Drainage. Biomimetics. 2026;11(1):5.(当院院長が共著者として参加) https://doi.org/10.3390/biomimetics11010005
[12] Mitani Y, et al. RAMPA Therapy: Effects on Craniofacial Growth Assessed by Coben Analysis. J Clin Med. 2026;15(5):1882.(当院院長が共著者として参加)
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この記事を書いた人
院長:岡井有子
大阪歯科大学大学院歯学研究科修了:歯学博士
医療法人社団セントワ理事長
所属学会
- 日本小児歯科学会
- 日本小児耳鼻咽喉科学会
- 日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会
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所属研究会
- RAMPA研究会
- 歯科保健医療国際協力協議会
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- European Conference on Dentistry and Oral Health
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