コラム

中顔面・舌骨・姿勢の相関を紐解く基礎知識|小児矯正とランパセラピーの理解に役立つ重要用語

矯正治療の鍵は「原因への逃げない理解」 中顔面の発達が歯並び悪化とロングフェイスを防ぐ

口呼吸、受け口、ガミースマイルーーこれらの記事を読んでいると、「中顔面」「舌骨」「姿勢」という言葉が、繰り返し出てきます。

聞き慣れない言葉だからこそ、なんとなく読み飛ばしてしまった方もいると思います。でも、これらの言葉こそが、当院がお伝えしているすべての話の土台になっています。

中顔面とはどこを指すのか。舌骨がどう関わるのか。姿勢がなぜ呼吸や骨格にまで影響するのか。

その繋がりを整理しておくことで、これまで読んだ記事も、これから読む記事も、より深く理解できるようになります。原因から逃げずに理解するーーその最初の一歩が言葉の理解です。

目次

    「こどもと女性の歯科クリニック」は、小児の矯正治療においては顎顔面口腔育成療法(RAMPAセラピー/ランパセラピー)、赤ちゃん歯科では乳児期からのお口の発達に取り組んでいます。

    サイト内では、既存の矯正歯科では出てこないような単語があります。事前の基礎知識として、ご理解いただきたい大切な言葉と当院の考えをお伝えいたします。

    顎顔面口腔育成療法

    ランパセラピー(ランパ矯正)で使用する装置

    顎顔面口腔育成療法は、主に「バイオブロックセラピー」と「ランパセラピー」による矯正治療です。

    口腔内装置のみによる治療となるバイオブロックセラピーよりも、写真のような口腔外装置と組み合わせるランパセラピーの方がより効率的・効果的です。

    当院ではランパセラピーを専門的に行い、バイオブロックセラピーは例外的に提供しています。これら以外の矯正治療は行っておりません。

    ランパセラピー

    必ずしも、ランパセラピーがすべてのお子様の正解ではありません。ただ、「矯正歯科=歯並び=審美」との先入観は、一度しまってください。もし、当サイトでのお伝えが不要でしたら、改めて「審美」を大切にされてください。

    命に関わるわけでもない子どもの矯正治療に「高額な費用と大きな負担は考えてしまう」。親御様より時折伺う言葉です。お気持ちは分かります。ですが、それらも一旦はしまってください。

    中顔面の発達

    中顔面を示すレントゲン

    大まかに目のあたりから前歯のあたりまでの、顔の中心部分を「中顔面/ちゅうがんめん」といいます。中顔面を構成する骨の中心が上顎骨です。

    本来、中顔面の健全な成長方向は「上前方」です。少々端的にいうと、顔が立体的になる方向となります。この方向をガイドするのが、上顎についた舌の役割。つまり、口呼吸ではガイド役が不在‥顔が縦に伸びる方向にも成長します。

    上顎の成長が足りなくなると‥分かりやすいのが「受け口」です。相対的に、下顎が前に出ているように見えてしまいます。

    中顔面の下方成長

    舌が上顎につかない(口呼吸)ことによる骨格への影響

    本来、中顔面は「上顎についた舌」の働きによって、その成長方向は上前方(緑矢印)となるのが健全な成長です。

    しかし何らかの理由によって「上顎に舌がつかない(口呼吸)」となると、ガイド役を失った中顔面は、主に重力の影響によって、その成長方向を下方へ向かわせます。

    サイト内では、この中顔面と上顎骨が似たような表現になりますが、中顔面を構成する骨の中心が「上顎骨」とご理解ください。

    読まれる上では厳密に区別いただかなくても大きな支障はありません。要するに「骨」の問題です。

    上下顎の劣成長

    口呼吸(舌が上顎につかない)状況下での上下顎の骨格変化のイメージ

    RAMPAでは、歯並びが悪くなる原因のほとんどを「上下顎の劣成長」と結論づけています。文脈によっては「中顔面の発達不良」とも記載していますが、読まれる上では、同義と受け取っていただいても大きな支障はありません。

    要は、歯並びが悪くなるのは、顎の骨格の成長が「正しくない」からです。

    イラストは、中顔面の下方成長に連動して下がる下顎の動きも示しています。

    上顎の位置によって、下顎は自然と適切な位置に移動します。ならば、上顎の位置が正しくなくてはいけません。

    上前方に上げる

    RAMPAの装置が上顎にかける力のベクトルを示すイラスト

    中顔面の正しい成長方向は「上前方」です。口呼吸によって下方へと向かうことになった正しいとはいえない成長の結果が、顎骨の歪みへと繋がります。

    これらに対して、RAMPAのシステムからその成長方向を上前方へと変化させ、歪みの解消を目指します。

    つまり、顎骨の歪みによって狭くなった鼻腔や副鼻腔、気道、顎に対して「拡がる」という効果を見込むことができます。

    ただ、正しくは本来あったであろう形に近づけるーーです。

    「治療の理解」のために、このようにお話しをしていますが、成長というマクロな視点で見ると、中顔面の正しい成長方向に下向きのベクトルがあるのは間違っていません。ただ、舌が上顎につかないことによって「下がり過ぎてしまう」ことが問題なんですね。

    下がり過ぎた中顔面を、本来舌がついていたらこう成長したであろう位置に上げることが、もっと正しい理解です。中顔面の正しい成長方向は「今よりはもっと上前方です」が、より正しい表現ですが、「中顔面を上げなくてはいけない」という結論は変わりません。

    気道容積と鼻腔容積

    RAMPA前と治療中の気道容積の変化を示すレントゲン
    RAMPAによる鼻副鼻腔容積の変化イメージを示すレントゲン

    RAMPAによって、中顔面は上前方へと成長方向が変化します。これにより、気道の容積拡大と鼻副鼻腔の容積拡大が、画像と数値で示されます。

    大事にしていただきたい理解は、これらは結果こそ「拡がった」ですが、正しくは、狭くなっていたものが「元に戻った」です。

    こうして拡がった顎の骨には、歯が生えるスペースも十分です。抜歯などしなくても、歯は自然と並んで生えてきます。あとは審美的に調整です。無理な矯正は必要ありません。

    上顎骨と下顎骨

    上顎骨と下顎骨を示すイラスト

    上の歯が生えている骨が「上顎骨」、下の歯が生えている骨が「下顎骨」です。どちらも歯が生えている部分だけではないんですね。上顎骨は鼻にも関わる骨です。

    頭蓋骨は複数の骨から構成されています。中顔面と括ってみても同じです。どこかにエラーがあれば、ドミノ的に相互影響します。

    もし、歯並びが悪くなる原因が「骨」ならば、歯並びにだけ「何かが起きる…」って、逆に不自然な気もしてきませんでしょうか。

    例えば、上顎骨は、単体で存在しているわけではありません。他の骨と接しながら、頭蓋骨を形成しています。表現として、「上顎を上げる」とする場合もありますが、実際上がるのは上顎骨だけではなく、「上顎骨を中心とする骨の複合体(中顔面)」ということなんですね。

    下顎への影響

    中顔面が下がる・上がるに連動する下顎の影響を示すイラスト

    ランパセラピーの特質上、当サイトでは上顎骨のお話しがメインとなります。

    しかし、舌が上顎につかないことによって、下顎骨にもイラスト右の赤矢印のような影響が現れます。結果、下顎の歯並びにも影響がでてきます。

    イラスト右上の赤矢印では、顔が縦に伸びるような影響もイメージできますね。上顎の位置に合わせて、下顎は下がります。

    イラスト左の青矢印は、RAMPAによる治療の改善効果とお考えいただいても大きな支障はありません。上顎が上がるということです。

    まるい顎

    口腔内におけるスポットの位置

    舌は本来、上顎のスポットといわれる部分に舌先がつき、上顎の歯の内側のスペースに収まるのが健全な形です。

    これが日常からできていますと、顎は写真のようにきれいなアーチ状のまるい顎に育ってきやすくなります。

    この状態ですと矯正治療の必要は、おそらくありません。

    さんかくの顎(顎が小さい)

    口呼吸の結果、三角の顎に育ったしまった上顎

    「顎が小さい」の正体が、この三角形の顎です。なぜこうなってしまうのか?

    その原因の多くは「口呼吸」です。ですが、ここで大切な理解は、口呼吸自体ではなく、「舌が上顎につかないこと」。顎をまるく育てるのは、舌の大事な仕事です。

    それができていない証拠と目にみえる現象が、口呼吸です。

    鼻腔や気道が狭い

    口呼吸は鼻腔や気道を狭くさせる

    中顔面は本来、上顎についた舌の働きによって、その成長方向は上前方(赤矢印)となります。

    口呼吸によって、この舌の働きがなくなると、その成長方向は下方へと向かいます。この正しいとはいえない成長の影響によって、上顎骨に歪みが生じ、鼻腔が狭くなりやすくなります。

    一方で口呼吸によって下がった舌は、気道を狭くすることに繋がります。これでは息苦しいので、口呼吸が日常化し、骨はその状況に合わせた成長をしてしまいます。

    鼻腔や副鼻腔も狭くなると表現しますが、骨格の劣成長が物理的に狭くさせるというよりは、正しい成長がかなわずに正常な容積を得られないという理解が正しい理解になります。

    首周りの筋緊張

    好ましくない抱っこ紐の使い方

    口呼吸の原因は様々です。当院では特に赤ちゃんの首周りの筋緊張にフォーカスしてお伝えしています。

    写真のような赤ちゃんの姿勢は、赤ちゃんの首周りに大きな負担をかけます。次にこの負担は、首周りの筋緊張から口呼吸へと繋がります。

    口呼吸というエラーは、骨格の間違った成長を促します。

    子どもの骨格の約80%が1才までに完成するといわれています。胎児期から始まり、生後1年間の過ごし方がより大切です。

    舌骨の位置

    舌骨を取り巻く筋肉群を示すイラスト

    舌骨といわれる骨があります。この骨は体の中で唯一、他の骨と接していません。すべて筋肉によってその位置を保っています。

    首周りの筋緊張は、肩から舌骨に繋がる筋肉の筋緊張を通じて、舌骨を下方へと引っ張ります。このことは別の筋肉を通じて、下顎と舌を下方へと引っ張ることに繋がります。

    口呼吸となる大きな原因の一つです。そしてこれは、「物理的な原因」。「お口を閉じなさい」では、なかなか解決しません。

    姿勢をよくし、身体をきちんと動かすことです。骨と筋肉の問題が根本なんですね。

    歯並びの形成

    舌圧と頬圧・唇圧の関係を示すイラスト

    上顎のイラストです。歯並びを形成する大きなポイントが、イラストにあるような「舌圧」と「頬圧・唇圧」のバランスです。このバランスの中で、歯並びは形成されます。

    口呼吸は、この中の舌圧が弱くなる状態なので、外から内へと向かう力が優位となります。三角形の顎になる原因ですね。

    歯並びが悪くなる原因として「口呼吸」とはよくいわれますが、結局こういうこと。

    骨の問題とはなかなか伝えられません。

    姿勢の悪さ

    子供が姿勢を悪くゲームをしている姿

    首周りの筋緊張は、赤ちゃんの例でお伝えしましたが、同様のことは、子ども・大人限らず起こりえます。

    姿勢を悪くすることで、首や肩の筋肉に本来望ましくない力が働き、舌骨の位置を下げ、口呼吸へと繋がります。

    大人ならば、ご自身の意思で運動・ストレッチと対処もできますが、子どもはそうはいきません。親御様がよく見てあげてください。口呼吸が定着してしまいます。

    矯正治療以前の予防、矯正治療後の維持にも「姿勢」は重要です。

    当院の検査項目

    矯正歯科では何が行われているのか?治療の経過を患者様が理解するには、感覚ではなく、客観的な事実が重要です。鏡に映った歯並びだけではなく、鏡には映らない何かについても想いを巡らせてみてください。

    多くの矯正治療が保証するのは、「今」の歯並びです。親御様もお子様も人生は何十年と続きます。

    以下は、治療前検査の主な項目です。

    • 鼻副鼻腔容積・気道容積計測=呼吸時の通気性
    • ANSとPNSの距離計測=口蓋のひずみ
    • S-Nの距離計測(脳頭蓋底のセラ点とナジオン点の距離)
    • ゴニアルアングル計測=下顎のひずみ
    • 顔の左右差・頭蓋骨の形状確認
    • 頭位・舌位・頚椎の形状確認
    • 歯の萌出スペース確認
    • 睡眠時無呼吸AHI計測・鼻腔通気度計測
    • 3Dによる顔貌と口腔内撮影など

    当院からの大切なお伝えと考え方

    私たちの大切な考え
    レベル「1」のエビデンスは数十年後の話です
    「赤ちゃん歯科」は「0期矯正」ではありません
    様子見と経過観察にはリスクの可能性があります
    マウスピース矯正への見解
    MFTが活躍する場面
    鼻呼吸より口呼吸がいい理由はありません
    AI検索はランパセラピーと相性が悪い
    よくある原因「遺伝」

    学会発表と論文発表

    学会発表
    論文発表

    こどもと女性の歯科クリニック

    ランパセラピーのその発想は、「より健全な手段で、原因から改善してあげたい」。そして「こどもと女性の歯科クリニック」は日本に2件しかないランパセラピー専門医院。ぜひご参考にされてください。

    こどもと女性の歯科クリニックロゴ

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    こどもと女性の歯科クリニック院長|岡井有子

    この記事を監修した人
    こどもと女性の歯科クリニック
    院長 岡井有子

    看護師として京都府内産婦人科等勤務を経て、大阪歯科大学に入学。大阪歯科大学大学院歯学研究科で小児歯科学を学ぶ。歯学博士。

    2017年東京都港区麻布十番にランパセラピー専門医院「こどもと女性の歯科クリニック」開院。

    2024年「医療法人社団セントワ」開設。同法人理事長就任。

    日本小児歯科学会・日本小児耳鼻咽喉科学会・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・日本ダウン症学会所属。
    RAMPA研究会・赤ちゃん歯科ネットワーク所属。

    2025年European Conference on Dentistry and Oral Health(パリ)、MENA Congress for Rare Diseases(アブダビ)などにおいて、ランパセラピー学会発表。

    プライベートでは2児の母として忙しい毎日を送っている。

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